mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

季節のたより

季節のたより69 ヒメオドリコソウ

ヨーロッパ生まれ、春待つ踊り子 厳冬に咲く おや、もうこんなところに、咲き出している。雪野原の氷の下からヒメオドリコソウの花が、顔をのぞかせています。あたたかな日差しに誘われ、つい花を咲かせてしまったのでしょう。寒さに耐えて、じっと雪解けを…

季節のたより68 ロウバイ

甘い香りと蝋の光沢 春遠からじと咲き出す花 まだ春遠い冬のさなか、梅の花に先駆けて咲き出すのが、ロウバイの花です。 黄色い花は、光沢と透明感のある蝋(ろう)細工のような美しさ。冬の青空のもと、鮮やかに輝く姿は、甘い香りと相まって、見ているとほ…

季節のたより67 ヤブコウジ

緑の葉に鮮やかな赤い実 お正月の縁起物にも 読んではつまらないが、声に出すとおもしろくなるのが、この話。 「・・・あらまあ、金ちゃん、すまなかったねえ、じゃあ、なにかい。うちのじゅげむじゅげむ、五劫(ごこう)のすりきれ、海砂利(かいじゃり)水…

季節のたより66 ヒヨドリジョウゴ

野鳥が運ぶ紅い実 都会の片隅にも育つ野草 この野草の紅い実を見たのは、師走の仙台駅の東口。家電量販店の駐車場の片隅でした。わずかに土の残った空地に、野鳥が運んだ種子が育ったのでしょうか。そこで芽を出し、抜き取られずに育って、伸ばしたつるが近…

季節のたより65 サザンカ

「冬の華」として育てられた 暖地の寒がりの花 野山の樹木も葉を落とし、庭や道端の草花も枯れて、冬の眠りにつき始めています。花のない寂しくなったこの季節に咲き出すのがサザンカの花です。 寒さに向って咲き出す サザンカの花 「かきねの かきねの まが…

季節のたより64 ハキダメギク

「掃きだめ」を拠点に 異国に新天地をひらいた小花 里の紅葉も終わり、枯葉が舞う季節になりました。それなのに、ハキダメギクは落ち葉をおしのけて、花を咲かせています。 ハキダメギクに思う 山本 凛 ハキダメギクとは つれない名前を つけたものです 野花…

季節のたより・特別編(1)

こどもたちの季節感が失われていく ― 気象庁の「生物季節観測」の縮小・廃止を聞いて 気象庁が67年間続けてきた「生物季節観測」のほとんどを年内でやめると発表しました。都市化や地球温暖化で鳥や虫は見つからなくなり、植物の標本も観測に適した場所の…

季節のたより63 ニシキギ

「錦」で形容された紅葉 「翼」を持つ恐竜の木 秋の紅葉は、モミジやカエデが美しいというイメージがありますが、それに劣らず美しく、華やかで錦の織物のような紅葉を見せる木ということで、名づけられたのがニシキギ(錦木)です。 ニシキギは、ニシキギ科…

季節のたより62 ワレモコウ

味わい深い秋の花 小さい花が集まる花穂 草原で暗紅色の花穂が風にゆれています。 ワレモコウ・・・・、どこか優しい響きのする花の名前です。 ワレモコウ まど みちお やあ!/ と 思わずぼくは / 笑いかけたような気がするやあ! / と ひびくように きみ…

季節のたより61 アケボノソウ

夜明けの空を想像させる花 黄緑色の斑点は蜜腺 「春はあけぼの・・・」とは『枕草子』の出だしですが、「アケボノソウ」は秋に咲く花、リンドウ科のセンブリの仲間です。 一般にはあまり知られていない野草なのでしょうか。『宮城の野草』(河北新報社刊)には…

季節のたより60 野菊の仲間

秋の風景を彩る野の花 「野菊」のイメージを育てた文学や歌 散歩道に白や薄紫色の野菊が咲き乱れ、静かに秋の訪れを知らせています。 野菊というのは、特別に「ノギク」という1種類の植物があるわけではありません。一般に庭園や庭先に見られる「菊」の花は…

季節のたより59 ミズヒキ

紅白の小さな野花 ひっつき、ジャンプする実 風の動きがどことなく秋めいてきました。草むらでミズヒキがかすかな風を感じてゆれています。 ほそい花穂がゆれるミズヒキ 夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に 水引草に風が立ち 草ひばりのうたひや…

季節のたより58 シュウカイドウ

日本の四季になじんだベゴニア、荷風の好んだ花 あちこちの庭の片隅や林の陰で風にゆれている淡紅色の花は、シュウカイドウの花です。シュウカイドウは、原産地が中国からマレー半島。江戸時代初期に日本に園芸用として持ち込まれたものが、いま半野生化して…

季節のたより57 クズ

旺盛な生命力 秋の七草 根は葛粉や漢方薬に 夏の盛りになると野や山に勢いよく生い茂るクズの葉が目につきます。 クズは「葛」と書きます。これは中国での漢字をあてたもの。クズの名は、日本がまだ大和国と呼ばれた時代に、奈良県の国栖(くず)地方の人が…

季節のたより56 マツヨイグサ

夕暮れに咲き出す花 目の前で見られる開花の瞬間 夕暮れが訪れると一斉に咲き出す黄色い花を見かけるようになりました。この花を見ると幼い頃の遠い記憶が浮かんできます。 夕暮れ、私は黄色い花が一面に咲く野原に立っていました。花のつぼみを眺めていたら…

季節のたより55 ヤマユリ

絶滅せずに生きる 野草で最大の美しい花 ヤマユリの花は、ユリ科ユリ属の中では最も美しく芳香もある花です。おそらく日本の野草の中では最大の大きさの花でしょう。この花が、もし希少種であったなら、すでに絶滅している運命にあったでしょうが、その逞し…

季節のたより54 ツルアジサイ

野生のアジサイ 山地の樹木に挑むクライマー 梅雨の頃、雨にぬれて新緑が美しい森や林を歩くと、あちこちに白い花が目立ちます。そのなかで、樹木全体が真っ白に見えるほど、白い花を咲かせているものがありました。その樹木が花をつけているのではなく、樹…

季節のたより53 ギンリョウソウ

銀白の竜の姿 光合成をやめた森の植物 6月は梅雨の季節。雨上がりの日などに森や林を歩いていて、薄暗い林床で、キノコのような、草花のような、全身が真っ白なものに出会ってびっくりしたことはないでしょうか。 この不思議なものは、キノコではなく、日本…

季節のたより52 マイヅルソウ

葉の形は鶴が舞う羽の姿 赤い実は「いのち」の最期の輝き マイヅルソウの花と初めて出会ったのは中学生のときでした。 田舎の中学校で理科の教科担当をしてくれた若い男の先生は、よく私たち生徒をひきつれて故郷の山々を歩きまわってくれました。 いつもの…

季節のたより51 ケヤキ

四季をとおして美しい樹、 ケヤキは 「校庭に立つ先生」 5月の若葉が美しい季節になりました。かつてこどもたちと過ごした学校の校庭に、数本のケヤキの木が立っていました。生活科の時間には、低学年のこどもたちと校庭のまわりに咲く草花を探してよく散歩し…

季節のたより50 ホトケノザ

魅惑の唇花のしくみ 畑の土のバロメーター 暖かくなったので我が家の小さな菜園に野菜のタネをまこうとしたら、見慣れない草花がピンクの花を咲かせていました。よく見ると、ホトケノザでした。 台座のような葉から花をそっと引き抜き、根元をちょっと吸うと…

季節のたより49 タンポポ

こどもたちのなじみの花 授業で学ぶ「たんぽぽ」のひみつ 陽光を浴びて、タンポポが咲いています。野原やあぜ道はもちろん、石垣や道路のアスファルトのすきまからも顔をのぞかせています。幼いこどもがいちばん最初に名前を覚えて友だちになる花。それはた…

季節のたより48 ショウジョウバカマ

早春の雪割草 葉先から芽をだす分身の術 この花が咲き出すと、灰色の雑木林が急に明るく華やかになります。ショウジョウバカマは、カタクリやミスミソウと共に春を彩る早春の花。一般にミスミソウが雪割草と名づけられていますが、ショウジョウバカマも春の…

季節のたより47 シュンラン

早春のヴィーナス 野生のランの花 早春の雑木林で、まだ木々の芽吹きが始まらない林床に、細い濃緑の葉を広げて、その間にひっそりと花をのぞかせているのがシュンランです。シュンランは春に咲くランの花なので「春蘭」と書きます。開いたばかりのシュンラ…

季節のたより46 アオキ

ヨーロッパでは憧れの赤い実、花と実が一緒の春 いま、目の前にある赤い実が、とても珍しい植物のものだとしたら、たくさんの人がその実を見るために集まってくるでしょう。 ちょっと外に出かければどこにでも見られるアオキの赤い実ですが、ヨーロッパでは…

季節のたより45 モミ

日かげで成長できる葉や樹形 年月を重ねて森林に 堅雪のなかにすっくと立つのは、芽生えたばかりと思われるモミの幼木でした。 太古から、自然のままに森林更新を繰り返してきたモミの原生林。高さ40mにも達すると思われる巨木のモミが、冬空を突いて立ち…

季節のたより44 ヤブラン

万葉集の「山菅」の花 黒い実は裸の種子 冬の日差しに黒い実が光っています。たくさんついていた実は、鳥に食べられたのか、地面に落ちたのか、花茎にまばらについた実は、それでもまだ光沢を残しています。 この実は、夏のおわりから秋にかけ、小さな淡紫色…

季節のたより43 ナンテン

難を転じる薬用の葉や実 紅葉する常緑樹 小雪のなか、ナンテンが赤い実をたわわにつけて、冬の庭を彩っています。 校庭に雪が降ると、このナンテンで、低学年のこどもたちと雪ウサギを作って遊んだことを思い出します。新雪をそっと両手でかき集め、雪かたま…

季節のたより42 ナナカマド

白い花、羽状の葉、紅葉、赤い実が楽しめる樹木 ナナカマドの赤い実が似合うのは、雪の綿帽子をかぶった街路樹。特に北海道ではこのナナカマドを市町村の木と指定しているところが多く、美しい街路樹の街並みが見られます。 旭川に生まれた作家井上靖は、市…

季節のたより41 ヤツデ

天狗のハウチワのような葉、雄花が雌花へ変身 1年のうちで、陽のさす日が最も短い季節になりました。雑木林は、わずかに常緑広葉樹だけが暗い緑を残しています。多くの植物にとって試練のときですが、この季節を選んで凛然として咲いている花もあります。ヤ…