mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

『こくご講座・冬 ~ウっシっ詩~』 (その2)

◆ Kさんの考える詩の授業

 目の前の子どもに合わせてどんな詩を選ぶのかが大事になります。どのような詩であれ読む人間の心を動かすものでなくてはなりません。子どもの心を豊かにしたいと願うからです。今回提示された「うんこ」という詩は、ふだん子どもたちが持っている既成概念を取り払い、解放したいということでした。ものを考えるときには、一つの価値観に縛られることなく柔軟で自由な見方が大事だということをこの詩で伝えたかったのです。

  う ん こ
            たにかわ  しゅんたろう

 ごきぶりの うんこは ちいさい
 ぞうの うんこは おおきい

 うんこというものは
 いろいろな かたちをしている

 いしのような うんこ
 わらのような うんこ

 うんこというものは
 いろいろな いろをしている

 うんこというものは
 くさや きを そだてる

 うんこというものを
 たべるむしも いる

 どんなうつくしいひとの
 うんこも くさい

 どんなえらいひとも
 うんこを する

 うんこよ きょうも
 げんきに でてこい

◆ Oさんの言葉遊び

 「とる」という動詞にもいろいろあるんだなあ、ということに気付いたら、子どもたちに作らせ、それを交流するそうです。声に出しても楽しい詩です。

  と る
           
川崎  洋

 はっけよい
 すもうとる
   こんにちは
   ぼうしとる
 てんどん
 でまえとる
   セーターの
   ごみをとる
 のらねこの
 しゃしんとる
   かんごふさん
   みゃくをとる
 おはなみの
 ばしょをとる
   はんにんの
   しもんとる
 コーラスの
 しきをとる
   たんじょうび
   としをとる
 りりりりり
 でんわとる

 子どもたちが「かく」で作ったのが下になります。

  か く
    〇〇小三年生

 カタカナで
 文字をかく
   大空の
   絵をかく
 カにさされ
 うでをかく
   運動で
   あせをかく
 お父さん
 いびきかく
   えらそうに
   あぐらかく
 寒い冬
 雪をかく
   バタフライ
   みずをかく
 おこられて
 べそをかく
   おならして
   はじをかく

 この後、出てきた「かく」を漢字にしてみるなどということは、教師根性のきわみでしょうか。漢字の持つ役割がはっきりするようにも思いますが、声に出して楽しめればいいのでしょうね。

◆ 教科書の詩をどう扱ったらいいのか

 この問いに、レポーターの先生方は次のように話しました。

① 教科書の詩を読んでみても感じるものがなかったら、同じ作者の他の詩をいくつ
  か当たってみる。そうして、これならと思った詩を教科書に載っている詩と並列
    して扱う。もちろん読み合いたい詩に時間をかける。
② 子どもと共有するための原則として、教師がいいと思わなければ何も伝わるもの
     はない。これは詩に限ったことではなく、全ての教科・教材に言えること。だか
     ら、自分がいいと思った詩をやる。

◆ 子どもたちへの詩の書かせ方が分からないのですが

 残念ながら、この点についての話し合いはできなかったので、東京・青梅作文の会の金田一先生の実践「自分の悩みや思いを表現できる場を」から生まれた子どもの作品を紹介します。

  知っている
         小学四年

 ぼくは知っている。
 サンタがいないことを。
 理由はすぐにわかった。
 弟がサンタからもらったスイッチを
 こわしたときだ。
 そのとき、お父さんが、
 「あれ、高かったんだぞ。」
 と言ったから。
 ぼくは、サンタがいないことを
 知っている。

 *この詩を職員室の先生方の前で読んだところ、大爆笑だったそうです。

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  いもうと
        小学1年

 いもうとと あそんでいたら、
 ぼくの手に
 ちゅぱちゅぱした。
 ごはんを たべてたら、
 ぼくのあしを なめてきた。
 ぼくは、
 「きゃー。」
 と、いった。
 まだ、0さいだから、
 かわいくて、チューをした。

 *この愛らしい光景、ほんとうにいやされます。

 ◆ おわりに

 講座では、詩の授業をすることで、子どもたちのなかに何が生まれ、教室がどのように変化していくのか。つまり、子どもの育ちにとってどんな意味を持つのかなどについて十分議論できませんでした。次回以降の課題にしたいと思います。(おわり)