mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

暑くて熱くて忙し~い、今年の夏

 今年の夏休み前半は、忙しかったなあ。休みに入ってすぐの7月22日、23日は、組合主催の「明日の授業のための教育講座」が行われ、高校生公開授業でお世話になったジャーナリストの金平茂紀さんが講演。その一週間後の29日~31日の3日間は、センター事務局の三代さんが猫の手も借りて準備してきた? 日本作文の会の全国大会が宮教大で開催。センターとして企画運営にも協力しながら参加。さらに一週間後の8月5日は、私たちセンター主催の「夏休みこくご講座」を、今回は午前・午後と一日がかりの内容で実施。ず~と学習会や研究会が続いて、やっとここ(お盆)に来て一息という感じ。以下、これらの学習会について簡単な報告や感想です。

 金平茂紀さんは「新しい戦前のなかの私たち」とのテーマで講演。昨年「徹子の部屋」に出演したタモリさんが、来年(今年)は「新しい戦前になるんじゃないですか」と述べたことや、また生前に同時代を生きる友人として親交のあった坂本龍一さんの残した言葉や活動を紹介しながら、今の日本は「言いたいことも言えない国」になってしまった。そして、昨年(2022年)のロシアによるウクライナ侵略と安倍元首相銃撃殺人事件という2つの出来事を境に日本は変わった。それまでは「戦後」だったが、今は「新しい戦前」だ。この出来事をきっかけにして、これまでできなかった憲法九条の改憲や軍備の増強をはじめ、原発政策の推進、マイナンバーカードの導入、自由権に対する抑圧と監視、偏狭なナショナリズムの喧伝 など、様々なことが火事場泥棒的に行われようとしていると、その危険性を述べた。
 最後に、このような時代のなか《正気を保つため》には、少数派であることを恥じないこと、ユーモアの精神(お茶目心)をもつこと、立ち止まって考えることなどが大切と述べて話を締めた。
 たいへん私的なことだが印象的だった一つに、金平さんが、ジャズ・バンド集団「渋さ知らズ」の曲を会場に流し、講演を始めたことがある。ジャーナリストというと、どこか近寄りがたいイメージを持つものだが、このような講演の始め方に、金平さんという人のユーモアの精神(お茶目さ)と、今という時代との向き合い方を見せてもらった気がした。また、これまで以上に親近感も感じた。

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 日本作文の会の全国大会では、講座「児童詩教育のすすめ」を通して、改めて子どもたちの「詩」に出会わせてもらった。思い起こせば、そもそも詩との馴れ初めは、子どもたちの詩を取り上げた『せんせいけらいになれ』(灰谷健次郎著)と、もう一冊は『一年一組せんせいあのね』(鹿島和夫・灰谷健次郎著)。それらを読んで、子どもたちの物事や出来事の捉え方のユニークさや感性のみずみずしさに驚き、笑い、ときに心が震えて、震えが止まらずそのまま泣いた。講座は、その時のもう一人の自分が呼び起こされた時間だった。
 講師は、埼玉で先生をずっとされてきた伊藤久美子さん。子どもたちが書いたたくさんの詩を紹介しながら、詩を使っての自らの教育実践とその魅力を語ってくれた。話を聞きながら、子どもの心のあり様や感じ方は、今も昔も変わらないと思った。
 子どもたちの詩がすてきなのは言うまでもないが、その詩を読む伊藤先生の声もとてもすてきだった。伊藤先生が、教室で子どもたちに詩を読んだり、語りかけたりしている情景が、目の前にぱあっと広がってくる気がした。声の力にも魅せられた。
 それに促されて思い出したのが、高校生公開授業で生徒たちに作品を朗読して聞かせる小森陽一さんの声と姿。なぜ思い出したのだろう。声のせいだろうか?

 最後に、『一年一組せんせいあのね』から詩を一つ紹介して、今日は終わります。『こくご講座』については、またの機会に。(キヨ)


 ぼくだけ ほっとかれたんや
           あおやま たかし

 がっこうからうちへかえったら
 だれもおれへんねん
 あたらしいおとうちゃんも
 ぼくのおかあちゃんもにいちゃんも
 それにあかちゃんも
 みんなでていってしもうたんや
 あかちゃんのおしめやら
 おかあちゃんのふくやら
 うちのにもつがなんにもあれへん
 ぼくだけほってひっこししてしもうたんや
 ぼくだけほっとかれたんや

 ばんにおばあちゃんがかえってきた
 おじいちゃんもかえってきた
 おかあちゃん
 「たかしだけおいとく」
 とおばあちゃんにいうてでていったんやって
 おかあちゃんがふくしからでたおかね
 みんなもっていってしもうた
 そやからぼくのきゅうしょくのおかね
 はらわれんいうて
 おばあちゃんないとった
 おじいちゃんもおこっとった

 あたらしいおとうちゃん
 ぼくきらいやねん
 いっこもかわいがってくれへん
 おにいちゃんだけケンタッキーへ
 つれていって
 フライドチキンたべさせるねん
 ぼく つれていってくれへん
 ぼく あかちゃんようあそんだったんやで
 だっこもしたった
 おんぶもしたったんや
 ぼくのかおみたら
 じっきにわらうねんで
 よみせでこうたカウンタックのおもちゃ
 みせたらくれいうねん
 てにもたしたらくちにいれるねん
 あかんいうてとりあげたら
 わあーんいうてなくねんで

 きのうな
 ひるごはんのひゃくえんもうたやつもって
 こうべデパートへあるいていったんや
 パンかわんと
 こうてつジーグのもけいこうてん
 おなかすいたけどな
 こんどあかちゃんかえってきたら
 おもちゃもたしたんねん
 てにもってあるかしたろかおもとんねん
 はよかえってけえへんかな
 かえってきたらええのにな