mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

夏休み短縮でよいのか ~ 子どもや教職員の声を ~

 中学校教師の瀬成田実さんが学校再開がままならないなか、教師として感じていることを地元紙に投稿しましたが、今回は残念ながら掲載は難しいとの連絡をもらったとのこと。学校再開や夏休みの短縮、9月入学・新学期制など教育をめぐってさまざま議論が起きていますが、それらの議論に共通して欠落しているのが当事者(子どもや教師)たちの声ではないでしょうか。
 新聞投稿のようには宣伝力も影響力もありませんが、このdiaryで紹介させてもらうことにしました。少しでも多くの人に読んでいただければと思います。(キヨ)

///////////////////////////        ////////////////////////////        //////////////////////////

 コロナの感染拡大は、日々状況が悪化し、学校の対応も二転三転している。私自身も、勤務校の子どもたちの不安やストレスを案じながら過ごしている。
 コロナの感染による学校の休校延長はやむを得ないが、本稿では、授業時数確保と夏休み短縮の問題に絞り、学校の在り方について述べてみたい。
 宮城県南では名取市が全県に先駆けて3週間余りの夏休み短縮を決めた。岩沼市亘理町、山元町の県南3市町も同一歩調だと聞く。そうなれば4市町の小中学校は8月8日~19日までの短い夏休みとなる。夏休みの短縮は一定程度必要だろうが、少し立ち止まって考える必要はないか。

 一つ目は、子どもの立場に立っての検討だ。子どもたちは、3月から続く休校で、「家から出るな」「友達と遊ぶな」と言われ、ストレスを相当ためている。挙げ句に夏休みまで削られる。子どもの権利条約にもある「余暇の権利」を保障しなくてはならない。夏休みの短縮は長くても2週間程度に抑えたい。
 教科授業の時数確保のために土曜授業や7時間授業まで始まるとなると、子どもの負担は一層増すことになる。さらに行事が削減されれば、学校生活から楽しみが奪われ、協力心や団結心を培うチャンスが減ってしまう。学力保障だけに議論が偏ることのないようにしたい。

 二つ目は、夏休み短縮の決め方の是非である。名取市は4月中旬に早々に決めた。私たち現場教員には寝耳に水であった。最近、校長や現場の声に耳を傾けずに施策を決定する教育委員会が少なくない。今回の夏休み短縮決定もその感を免れない。教育委員会を飛び越して首長がトップダウンで決定する場合もある。今、行政に真っ先に取り組んでほしいのは、消毒用アルコールやマスクの確保、児童センターの過密解消、オンラインを活用した在宅学習など教育環境の整備である。夏休みをどうするかは、現場の状況や教職員、保護者の声を踏まえた判断を望みたい。

 最後に私は提案したい。現在の休校はほぼ全国的だ。国・文科省が休校期間に見合う学習内容を削減すべきではないかと。休校はさらに延びる可能性がある。夏休みは有限であり、短縮するにも限界がある。小1から高3まで範囲を示して学習内容を削減すれば、夏休みの短縮は最小限に抑えられる。高校入試や大学入試では、その単元を範囲から除外すれば良いのだ。除外部分を取り戻す工夫は、次年度以降、知恵を出し合って考えよう。今は緊急事態。教育委員会は、至急、文科省に要請してほしい。
 勤務校の職員室では、「中総体や修学旅行は何とか実現させたいね」という声がささやかれている。「いのちが一番」は言うまでもない。だが、可能ならば、思い出に残る行事を一つでも叶えてあげたい。子どもたちの豊かな人間性を育むためにも。
 夏休み短縮と授業時数確保について、県教委や市町村教委には慎重な判断をお願いしたい。