mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

コロナな日々に、負けずにトライ!

 河北新報の持論時論に掲載されなかったと悔しがっていた瀬成田実さん、それならDiaryに載せるのはどう?と声をかけて掲載しましたが・・・。やっぱり瀬成田さんは、人知れず諦めないんだなあ。何度でもトライ!なんですね。知らぬ間に、次の投稿を送っていたとはスゴイ!。
 5月25日付の河北新報『持論時論』に以下の投稿が掲載されました。瀬成田さんの念願かなった投稿です。すでに読んでいる方もあると思いますが、ぜひ前回分(夏休み短縮でよいのか ~ 子どもや教職員の声を ~)も含めてお読みください。

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  再開後の学校づくり 子ども不在 意見尊重を

  新型コロナウイルスの影響で、各地で小中学校の休校延長が繰り返された。9月入学や始業の議論も起きている。私は学校現場の課題について子どもの基本的人権を守る視点から意見を述べたい。
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 一つ目は、子どものストレスの問題である。子どもたちは3月から続く休校で「家から出るな」「友だちと遊ぶな」と言われ、ストレスを相当ためている。学校が再開しても「給食中はおしゃべりをしない」など、さまざまな制約の中での生活が続く。

 そして短い夏休み。土曜授業や7時間授業も始まるかもしれない。そうなると、子どもの負担は一層増す。中学校総合体育大会の中止や行事も削減となれば、学校生活から楽しみがなくなり、物事に全力で向っていくことや、みんなで力を合わせることの大切さを学ぶチャンスも減ってしまう。
 子どもを追い詰めてしまえば、不登校の増加も懸念される。子どもには余暇の権利や遊ぶ権利がある。再開後の学校は、学力の保障ばかりに偏らないようにしたい。

 二つ目は、学校の教育活動の決め方についてである。この間の動きをみていると、私は子ども不在で議論が進んでいるように感じる。もっと子どもの声を聞こうではないか。「夏休み短縮は必要?」「中総体ができない分、どんなかたちで部活を締めくくりたい?」「感染を避けながら文化祭をするにはどんな知恵を出すといいかな?」「修学旅行が中止になったら、代わりにしたいことはないかな?」などと、子どもに問い掛けて子どもの声を尊重しながら計画や行事を決めていくのである。これが子どもの「意見表明権」を大事にするということではないだろうか。
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 さて、9月入学の議論についてである。全国一律9月スタートであれば、公平性は担保される。しかし、社会システムの改革なしに9月入学の実施は現実的ではない。学校現場の喫緊の課題は、消毒液やマスクの確保、教室内の過密解消、エアコン増設など、再開に向けての対策強化である。今、行政は、子どもたちの生きる権利や健康の権利の保障にこそ、エネルギーを割くべきである。

 最後に私は提案したい。子どものための教育課程づくりをすべきだ、と。新学習指導要領はそもそも内容が多過ぎる。これに子どもを合わせようとすれば、子どもはパンクする。まず、学校では思い切った学習内容の精選や工夫をする。次に文部科学省が休校期間に見合う学習内容を小1から高3まで範囲を示して削減する。さらに高校入試や大学入試では、削減した単元を範囲から除外する。

 このような対策を講じないと、夏休み短縮や授業の上乗せ、土曜授業の議論になってしまい、学校生活に潤いがなくなってしまう。教育委員会は至急、学習内容の削減を文科省に要請してほしい。

 再開後の学校づくりは、子どもの権利と意見を尊重して進めたい。教育委員会にも、子どもの「最善の利益」はどうあるべきか考えてほしい。
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 掲載後に電話で瀬成田さんと話した際、冒頭の文章にある「基本的人権」は、元々は「子どもの権利条約」だったそうです。新聞社で判断して変えたのでしょう。瀬成田さんは、そのことにこだわっているようでした。

 そのこだわりを聞いて、瀬成田さんはすごいなあと思いました。書かれている内容は(「意見表明権」第12条、「遊びの権利」・「余暇の権利」第31条)です。タイトルの「子ども不在 意見尊重を」からいって、まずは「子どもの権利条約」がふさわしいし適当だと私も思いました。コロナによる一斉休校以降、もっぱら語られるのは「学力」のことばかり。こどもたちの遊びや余暇の権利はほとんど語られません。「基本的人権」は、人が生まれながらにして誰もが持つ権利で、もちろんそこには子どもも含まれるわけですが、子どもを固有の存在として認め、世界の子どもたちの置かれた厳しい現実を踏まえつくられた条約であることを考えれば、やっぱり「子どもの権利条約」だよねえ~という気がします。
 瀬成田さんのそういうこだわり、とても大事だと思いました。

 最後に、この間の学校再開への動きを見ていると瀬成田さんの言われるように「子ども不在」だと思いますが、同時に働いている「教職員不在」でもあるように思います。瀬成田さんはもちろん、それ以外の先生方もどんどん教師としての思いを語ってほしいと思います。大いに期待してます。(キヨ)