mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん「熊野古道」伊勢路 ひとり旅8

伊勢神宮から那智の滝』 200kmをせっせと歩く




【8日目】4月23日(日)晴れ  22℃
          ~ 七里御浜海岸 27km ~

 

◆ 空も海も碧い(7:40)

12km先の道の駅まで浜を歩けるので、そうしようと思った。
ところがここは、砂浜ではなく砂利浜だった。
大小入り交じった砂利。
しかも角の取れたつるつるの玉砂利。
数年前、高知の砂浜を歩いたとき、波打ち際の方が水で締まっていて
とても歩きやすかった。
そこで、今回も波打ち際まで行ってみた。
靴が埋もれそうになった。
水で濡れた玉砂利が締まるはずはないか。逆だった。
歩きやすいところはないかと、浜を歩き回ってみた。
どこもない。どこも玉砂利。ざくっざくっと一足ごとに歩く感じ。
100mほど歩いただけで、すごく疲れた。
こりゃ時間も体力も、もちそうにない。
防波堤に上がると、歩くところがあった。
ありがたい。

◆「釣り日和」最高だな!
釣り人発見!
この空と海の中に。何という贅沢だろうか。
竿を出してるだけで満足だ。
何が釣れるんだろうか?
取材だ。
ざっくざっく近づいていった。
「この海は何が釣れるんですか?」
「チヌを狙ったんだが駄目だねえ。」
「あれ? チヌというと岩場のイメージなんだけど。」
「割と近くに根があるんだと思うよ。」
なるほどそうか。
防波堤から見てたら遠投しないので、魚が濃いのかと思った。
根があるからか。
「釣れなくても最高の場所ですよねえ。」
戻りながら、バカなこと言ったと思った。
釣り人にとっては、釣ることが最高なんだ。

津波避難タワーだ(8:30) 

川が海に流れ込んでいるところは、一旦防波堤が切れる。
次の防波堤までは、国道を歩くことになる。
そこで見つけた。津波避難タワー。
正直なことを言うと、“ この高さじゃ駄目だ ”
だってここは、0m地帯と同じだよ。
しかも、国道脇には民家がずうっとある。
てっぺんは、ぎゅうぎゅう詰めで100人位のスペースしかない。
この地域は、南海トラフの直撃を受ける場所だ。
おそらく、綿密な避難計画があるに違いない。
このタワーは、もうどうにもならなくなった人が、
逃げ込むために作ったのかもしれない。

歩きながら、民家の奥はどうなってるか眺めてみた。
平らな土地がずいぶん西側に広がっている。
その先に、小高い山が見える。
あそこまで逃げるのに、走っても5分じゃ無理だ。
下手すると30分はかかる。
みんな逃げ切れるんだろうか。

これまで、地震のことはあまり考えないようにしてきたが、
昨日も、一昨日も、海のすぐ傍の宿だった。
海っぱたを、好きで歩いてる人間が、
「避難場所はどこですか?」とは聞けなかった。
でも、タワーを見たら、“ 聞いておくべきだった ” と思った。
津波の恐ろしさを共有できたかもしれない。

再び防波堤を歩くが、暑くてたまらない。
他に道はないかと探したら、あるじゃないか。
防波堤と並行して、木立の中に土の歩道があった。
やっぱり土はいいなあと、足が喜んでる。

◆「きのう」が浮かんできた
昨日歩いた二木島峠の登り口が、分かりにくかったことは書いた。
実はそこに、「近畿日本ツーリスト・トレッキングコース」という旗があった。
もちろんそこだけではなく、途中途中にもあった。
ほうほう、ここのトレッキングはいいんじゃないか。
そう思って歩いていると、向こうから人が来た。
山中で人に会うのは、2回目だ。
挨拶だけ交わした。
若いカップルだった。
しっかりとした山歩きの服装で、ペースもなかなかだった。
今日は土曜日だから、2人で峠を歩こうとなったに違いない。
とてもいい若者たちだ。と、その時は思った。

でも、旅行雑誌編集社のご婦人方と会って、分かった。
あの若者2人は、近畿日本ツーリストの社員だったのだ。
ツアー客が迷わないように、目印となる旗を付け、
スタート地点に戻るところだったのだ。
その行為は、お客が歩くであろうコースを2度、向きを変えて
確認することにもなる。
旅行会社としては当然の準備だ。

断定はできないが、あの編集社2人の行動、言動を見る限り、
伊勢路トレッキングの経験はなさそうだ。
紙面を作るために、自分の足で歩いて、自分の目で見て、
ということも感じられなかった。
伊勢路歩きは企画の一部だと言っていたが、
歩きもしないで誌面を作れるのだろうか。
メインは別にあるから、その程度なのだろうか。
う~ん…

汗かきかき歩いていたら、そんなことが浮かんできた。

◆ 空飛ぶおじさんに襲われた(10:10)
10kmも歩いたろうか。
天気が良すぎる、暑い。もう少しで道の駅だ。
見えるかなと、目を凝らしたら、
遠くにハンググライダーが右往左往していた。
海風がだんだん強くなってきて、帽子を飛ばされそうになった。
この風で飛ぶのは、自殺行為だな。
そう思って見ていると、案の定、松の木に引っかかった。
それでもやめない。なかなか根性あるな。
そんなことを思いながら歩くと、どんどん近くなった。

目の前に来たとき、どんな操作をしているのか観察した。
すると、風にあおられて、まっすぐ突っ込んできた。
うわあ、ぶつかる!
走って逃げた。
「すいませーん!」と、必死に操作しながらの声。
強風の中、海まで2、30mしかない浜で、もまれていた。
飛んでるというより、ホバリングに近かった。
だから、「すごいよ、うまいよー。」と声をかけた。
「はじめてなんですよー。」
「ええー、なおさら凄いよ-。」

決して若くはないおじさんが、新しいことに挑戦してる。
なんか凄い人だなあ。

パーク七里御浜からは、国道や民家の中を歩くルートだった。
海沿いなのに、海はあまり見えない。
楽しくないと思いながらも、せっせと歩いた。
だんだん左の足裏が痛くなってきた。
どうも豆ができかかっている。
だから舗装道路はきらいだ。
とにかく、長い休憩を取らねば。
ウミガメ公園までがんばろう。

◆ 道の駅「ウミガメ公園」(11:50)

靴と靴下を脱いで、足を自由にした。
何でカメがいるんだろう?
この水槽の後ろには、カメの水族館まであった。
考えられるのは、この辺の浜にウミガメが産卵に来ること。
その保護活動と啓発をしているに違いない。
疲れていたので、確かめる元気なし。

◆ 二度も迷う
【その1】
紀伊井田駅辺りから内陸に入ることになっている。
その入り口を気付かずに通り越してしまった。
勘を頼りに歩いてみたが、発見できず。
庭で畑仕事をしていたおじいちゃんに聞いてみた。
「たぶん、この下の道がそうだと思うよ。
 でも待って、お向かいに学校の先生だった人がいるから。」
わざわざ確かめに行ってくれた。
おいらもついて行って、地図を見せながら「この道なんですが…」
その先生は見るなり、「あらあ、これはまたざっくりとした地図だねえ。」
そうなのだ。道標頼りなのだ。
それで駄目なら、人に聞く。
これがおいらのやり方。とは言えない。
ほんと助かった。
お二人に頭を下げて、歩き続行。

【その2】
「粥森様」から「成川の渡し跡」に向けて歩くと、
けっこう大きな道路工事にぶつかった。
どうも高速道路建設のようだ。
通行案内板をいろいろ見たが、
伊勢路ルートに関するものはどこにもない。
おかげで右と左を間違えた。
かなりの遠回り。

結論として思うのは、町場の方が迷いやすい。

◆ 熊野大橋 渡るぞー(15:00)


        いやあ~長いなあ~

 
          橋の上から海の方を見た

◆「熊野速玉大社」に ご到着!

 

やっと、たどり着きました。
足、痛しです。

朱塗りの立派な本殿。ありがたく拝みましょう。
ここには、変なじいちゃんはいなかった。

◆ 体に異変が・・・(16:30)
ようやく新宮のお宿に着いた。
はあ~、今日はけっこう歩いたなあ。
体中の水分が抜けてる感じだ。
万歩計を見ると43,373歩。
ふむふむと思いながら、手を洗おうとして「うわっ!」
何と、左手の甲が赤く手袋のように腫れている。
ところどころに、小さな水泡もある。
ど、ど、どうしたんだろう。
2,3日前から赤くなってるのは分かっていたが。
ただ、腫れてはいなかった。
だから、気にもしていなかったのだ。
腫れ方が尋常じゃない。

ここに来るまでの間に、峠で草にでも触ったかな。
なんかの虫か?
オーガニックの虫除けが合わなかった?
分からん。

痛くもなければ、痒くもない。
ただ、見苦しいだけ。
なので、ほっとくことにした。
時間が経てば分かるでしょう。