mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん「熊野古道」伊勢路 ひとり旅7

伊勢神宮から那智の滝』 200kmをせっせと歩く




【7日目】4月22日(土)晴れ 24℃
                    ~ 甫母峠 5km ~


     甫母峠登り口から賀田の町が見えた (7:10)


        朝の光の中は気分がいい(7:43)

これまでにもいくつかあった。行き倒れた方の碑。
身を挺して巡礼しようとする信仰心の深さに頭が下がる。
ここを歩いた昔の人々は、自然に対する畏れや敬意を持って、
それこそ自然の中で生かされていることを感じて
暮らしていたのではないか。などと思ってしまう。

尾根道からぽっかり海が見えた。
お日さまの具合から南の方だと分かるが、いったいどこなのやら。

◆ はじめてイラつく(8:39)

どんなに悪路だろうと、岩場だろうと、その地形に対して
腹を立てることは一度もなかった。
この峠の下り道。根っこが張りめぐっていた。
こんなに道を覆っているところはめずらしい。
どこに足を置いても、靴が引っかかって嫌になった。
ちょっとイライラした。
たぶん、疲れてるからだ。
くそ~と言いながら写真を撮った。

ほう!みどりとツツジがいいねえ。眺めていたらイライラが静まった。
このツツジ、どうも「オンツツジ」というらしい。

二木島の漁村に出た。(9:22)

道に下りたら、お猿の親子が出迎えてくれた。
威嚇はされなかった。


 ~ 二木島峠・逢神峠 4.5km ~

二木島の町から峠の登り口へ入るとき、迷った。
表示はあったものの、斜面に建ち並ぶ民家の細い路地。
まさか洗濯物を干している庭?を通るとは。
暮らしてる方々は、嫌だろうなあ。

そうして二木島峠に到着。

20分も歩くと、逢神坂峠だった。

説明板によれば、「おおかみ峠」の名称は、
“ 伊勢の神と熊野の神 ” がここで逢ったことによるらしい。
また、“ 狼が多く生息していたから ” という説もあるとのことだ。
どっちも面白い。
われながら、写真も面白い。
でも、ジャングルの中で命を落とした兵士のようでもある。

今日の峠道は歩きやすい。
この調子だと新鹿の町には、12時過ぎに着けそうだ。

◆ 新鹿から熊野市へ電車で移動
携帯電話が使えなかったので、明日の新宮のお宿は決まっていない。
少しでも早く、“ 市 ” と付く町に行かねば。
尾鷲市は全く問題なくネットも使えた。
熊野市もきっと大丈夫だろう。
駄目でも、駅近くに観光案内所があるはずだ。

このまま大吹峠と松本峠を越えても、さほどの時間も要しないだろうが、
明日は日曜日なので、予約が取れるかどうか分からない。
夕方よりも、昼前後の方がいいだろうと判断。

こんなことにならないようにする方法はいくらでもあったはず。
前日予約にこだわる理由は何もない。
バカだった。
そう思っても、明日のお宿はない。
駅に向かおう。

◆ 電車の中で 
すぐ降りることになるので出口近くに座った。
車両には3人だけ。
窓外の景色をカシャカシャ撮っているご婦人。
大きな鞄を携えているご婦人。
その2人が、するすると寄ってきた。
伊勢路を歩いてるんですか?
わたしたちは旅行雑誌を作っている者なんですが。」
鞄から雑誌を取り出し見せてくれた。
正直、その手の雑誌は買ったことがない。
つい、「全国誌なの?」と聞いてしまった。
「ええ、そうです。紀勢本線熊野古道トレッキングを組み合わせた春の企画を作ろうと思っているので、少しいいですか?」
「ああ、それはいいですね。峠の入り口と出口付近には、たいてい鉄道の駅があるので、気軽に歩けると思いますよ。伊勢路の雰囲気は楽しめるでしょうね。」
「どこで降りるんですか?」
「熊野市までなんで、もうすぐ降りますよ。」
「それじゃあ、写真だけでも撮らせてもらえませんか?」
「写真だけ? それは嫌です。」
俺の歩き旅の全貌も取材せず、ただ紙面を埋めるだけに使われるのは、
まっぴらごめんだ。
一緒に降りて、“ もう少しお話を聞かせてください ” なら、
応じてやってもいいが。

 ~ 熊野市・花の窟 へ ~

獅子岩(13:30)

熊野市駅向かいにある観光案内所で、明日からのお宿を予約してもらった。
こう言うのもなんだが、自分でやるよりずっと確実で楽ちんだった。
ついでに、昔からやってる喫茶店を紹介してもらった。
暑くて、アイスコーヒーが飲みたかった。
獅子岩が間近に見える海っぱたにその店があった。

いやあ~ 海はいいねえ!
ずっと山の中だったので、なおさらだ。

◆「花の窟」ってなんだろう?
海沿いを1kmほど歩いて行くと、あった。
土曜日ということもあり、けっこう人が集まっていた。

神社の奥に大岩があって、てっぺんに綱が張ってあった。
なんとなく厳粛な雰囲気。
説明板を読んでみた。
ここは、イザナミノミコトが葬られたという御陵とのこと。
45mの巨岩が御神体
なるほど、よく見ると、太い綱から細い縄が何本も垂れ下がっている。
御神体が大きすぎるので、こうやって祀ってあるのだ。
伊勢には神の痕跡が多いなあ。

◆ 熊野市のお宿(16:00)
ここは本当に素泊まりのお宿だった。
しかしながら、二部屋を自由に使える贅沢をいただいた。
国道をはさんで海が広がっている。
部屋に吹き込む風が、何とも気持ちいい。
おかみさんが超親切で、書きたいことはあるのだが、
長くなるので割愛。

明日は、一日中海を見ながらの歩きとなる。
この旅の大詰めだな。