mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん「熊野古道」伊勢路 ひとり旅5

伊勢神宮から那智の滝』 200kmをせっせと歩く


【5日目】4月20日(
木)曇りのち晴れ 25℃
             ~ 始神峠 14km ~

 

◆ 道瀬出発 (7:30)


         お宿前の海:朝もやで少しかすんでいた

◆ 三浦峠(7:50)

 
峠のピークは切り通しになっていた。
朝なので、元気もりもり歩く。

◆ 熊谷道(8:00)

 

お日さまの光が差し込んで明るい林だ。

◆ 三野瀬駅を通り過ぎ「始神峠」に向かう(9:00)

 

説明板によれば峠まで後1kmとのこと。
しかも「絶景で知られた頂上」と書いてある。
そりゃ楽しみだ。
でも歩いて行くと、江戸道と明治道があり、交錯地点が非常に分かりにくかった。

 
   「大洋に 潮の花や 朝日の出」鈴木牧之(1796年)とあった。

頂上だと思って写真を撮ったが、通り過ぎていたことが判明。
それでも眺めは最高だった。
伊勢の海の雰囲気だなあ。

◆ 暑くて休憩・上里地区(10:15)
峠から1時間ほども歩いたろうか。
天気が良すぎて、とにかく暑い。
もちろん半袖になったがそれでも汗は流れる。
上里小学校の校庭では1年生が鉄棒の授業をしていた。
それを見たら少し元気が出た。
もうちょっと歩くか。
しかし、ほどなく自販機があり、いすも置いてあった。
屋根もあって日陰になっているではないか。
「さあ、おいでおいで。」と言っている。
休まないわけにはいくまい。
自販機がこんなに有り難いとは。
ありがとございます。

       馬越峠 12km ~



◆ 登り口到着 (12:45)

 

これまでになく歩きやすい石畳みだった。
心なしか道も広いように感じる。
「馬越」という名前からして、おそらく荷馬も通れるようにと
配慮して作ったのだろう。
運搬の術がなかった当時、馬は家族以上に頼りになる存在だったのだと、
歩きながら思った。

◆ 峠頂上(13:35)

ここには、少し大きめの休憩する建物があった。
眺めは良くない。
景色を求めて、すぐそこの山を登ることにした。

◆ 「天狗倉山」とんでもない(14:15)

わずか30分の登りだったが、いやあきつかった。
急坂のうえに、斜めった岩盤の上に落ち葉が重なった超滑りそうな箇所も普通に登山道だった。
ひいひいしながら頂上に着くと小さなお社があり、その脇にとんでもなくでっかい岩が
ど~んと頂上を作っていた。
そこに、これまた急な梯子が設置してあった。
登るしかあるまい。


       ほう~ほう~!これは絶景だ! 尾鷲市が一望だ。

天気が良すぎて春霞のようになってる。
来る途中の道の駅「海山」で仕入れたシフォンケーキを食いながら
のんびりと眺めた。
そうだ!ここなら…
スマホを取り出し、明日の宿泊予約のために電話をした。
通じた。よかったあ!
au頼むよほんとに~。

 

峠越えはいつも山の中だなあ。

◆ 尾鷲のお宿(16:30)
信じられないことが起こった。
きのう、この宿を予約したとき、「食事なしなんですが…」と言われ、
思わず「えっ、食事なしかあ…」と困った声を出した。
すると、「それじゃあ、知り合いの店で食事できるようにします。夕食込みで
6,600円ですが」
「あ、それは助かります。それでお願いします。」
勝手な想像で、中華屋かなんかの定食だろうな。十分十分。

宿に着いて、夕食は18:00頃とお願いした。
でも、なんかお店の都合で2,30分遅れて連れて行かれた。
「あそこです。」
えっ!○○割烹という看板が目に入った。割烹?
それでも、“四角いプレートに乗った、まかない風の定食だろうな”
カウンターに座らされた。
おかみさんと息子の板長がてきぱきと動いている。
先付けが出てきた。しかも手の込んだもの。“定食じゃないの?”
刺身が出て、金目鯛の煮付け、女将さんが作ったという干物、息子が育てた野菜の漬け物、
魚介類を使った変わりご飯…
どれもこれも、美味すぎた。さすが割烹の味。
「いや、もうそんなに出さなくていいですから。」「じゃ、ご飯は食べなくていいよ。」
尾鷲港に揚がったばかりのエビの天ぷら。普段、好んでは食べないエビの天ぷらだが、目の前で、揚げたてを次々と。箸が止まらない。
一体何品出されたのか覚えていない。

仙台と聞いて、おかみさんの“ゆず君追っ掛け”の話や昔釜石を旅した話など、
面白くてしょうがなかった。また、お店を休む口実に親子で四国遍路や西国巡りなどを
しているという。当然、おいらのお遍路話も。
あっという間に時間が過ぎて、そろそろ帰って準備しようと思ったころ。
息子が、「実は今日遅くしてしまったのは、バイクの納車だったんですよ。3ヵ月も待ったやつが今日だったんです。ホンダのCB1300なんです。申し訳なかったです。」
「え~っ、1300! 許す許す、全然許す!おれドウカテイ乗ってんの。」
まさかバイク好きとは。
ここから、全国を走り回ったツーリングの話になってしまい、二人で止まらなくなってしまった。

けっこう話した後、明日のことがちらちら浮かんできた。
後ろ髪引かれる思いで、「そろそろ戻るから。」と言うと、
「バイクすぐそこにあるから見て見て。」と二人で外に出た。
彼はエンジンをかけて2,3回ふかした。どどどどどどど…
何ともいい音だ。「うお~すげえな。」
「一緒にツーリングできたらいいなあ。東北にも来てくれよ。」
そんな会話をして店を後にした。

宿の主人と息子は、幼馴染みだということが分かった。
だからといって、この破格の夕食はどう考えてもあり得ない。
この夕食込みで6,600円?
息子は、持ちつ持たれつだからと笑っていた。

そういうわけで、ここのお宿だけは実名にしようと考えていた。
だが、まてまて…。
今は食事なしでやっているお宿。
割烹を目当てにされては困ることもあるのではないか。
やっぱり、明かさないことにしよう。