mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん「熊野古道」伊勢路 ひとり旅3

伊勢神宮から那智の滝』 200kmをせっせと歩く




【3日目】4月18日(火)晴れのち曇り22℃
        ~ 三瀬坂峠 21km ~



◆ ここか、バカ曲り(8:30)

 

出発して15分もすると、宿の主人が教えてくれた「バカ曲り」入り口に来た。
下っていくと小さな沢があり、確かにくねくねと道とは思えない道。
薄暗い大きな土管が待っていた。その中を沢水がちょろちょろと流れている。
そこにラダーレールが何本か繋がり、渡れと言っている。
背をかがめて土管の中に入る。
これ、雨降ったら駄目でしょ。
出ると、舗装道路の反対側。
ん? だったら右に下らせないで、左に下ればすぐなのにな。
これが歴史ということなのだろう。
あくまでも、古道は古道として残ってきたのだ。

◆ あれ? 早すぎるな「八柱神社」(10:00)
2時間休まず歩いたんで、休憩場所を探した。
あっ、ちょうどいい神社がある。
日陰もある。
よし、よし。
何て言う神社だ?
八柱神社と書いてあった。
地図で場所を確かめた。
おっ、もうここまで来たのか。やけに早いな。
ルートをなぞって確かめてみた。
えっ!こっちにも同じ名前の八柱神社があるじゃないか。
なんだよ~ まぎらわしいなあ。
一瞬喜んだじゃないか。

坂瀬峠を挟んで八柱神社が二つあった。(地図を見てね)

なぜかは確かめなかったが、おそらく、どちらから峠越えをするにも
歩く人々を守るために建てられたのではなかろうか。
二つ目の八柱神社でも休憩を取り、神社の雰囲気を確かめてみた。
似ていた。というか、同じだと感じた。

◆ 帰れマンデーだ!(10:10)
八柱神社を過ぎると坂瀬峠までずっと登りだ。
国道脇の歩道なので楽ちんと思いきや、これがけっこうきつい。
お日さまはぎらぎら。ザックが肩にのしかかる。汗が噴き出る。
この坂どこまで続くんだろう。
曲がった先が気になってくる。
たとえ足下が平らでも、アスファルトの上り坂はこうなんだ。
帰れマンデーが浮かんだ。
くそっ!

◆ 道の駅「おおだい」(11:45)
 《ワンカップおじちゃんに会う》
昼ちょい前に着いた。
いやあ、とにかく暑かった。
宿のご主人が言っていた “ うまいラーメンを食わにゃ ”
その前に、道の駅の喫煙所でまず一服だ。
ほどなく、ワンカップ片手におじちゃん? おじいちゃん?がやって来て
お向かいに座った。
明らかに地元のお方。昼から優雅だ。
黙ってるのも何だなあ。そうだ・・・

「あの、この近くにおいしいラーメン屋があると聞いたんですけど・・・」
「え? ああ~駅の近くにあるある。ほれ、 あそこの階段登って駐車場抜けて・・・」
いい人だった。
もう少し話したいと思ったが、昼はどうも並ぶらしい。
へえ、こんなに奥まったところでも行列ができるんだ。
よっぽど美味いに違いない。
そう思って時計を見たら、ちょうど12時。
「あ、昼だ、まずいまずい、行ってみますから。」

 《はあ~ 食えなかった~》
JRの駅近くということだったが、探すのに手間取った。
スマホのインターネット接続ができなかったからだ。
だから聞いたのだが。
聞いたおいらもじいちゃんなので、右左の情報が飛んでしまった。
15分ぐらいしてようやく発見。

あ、あららら、遅かったか!
すでに5、6人並んでた。
別に先を急ぐわけではないが、メインは歩き。
ザックにある “ おにぎり ” で我慢するか。
しょんぼりと、立ち去った。

◆ 三瀬坂峠に向かう(14:00)

 

ちょっとした峠ではあるのだが、
午前中にけっこう足を使ったので、
ひいひいしながら登った。
足の小指をかばいながら。


           峠で一休み(14:30)

杉林の古道は、静寂と鳥の声だけ。
落ち着くなあ。
欲を言えば眺望がほしかった。

大紀町のお宿(16:00)
国道と川の傍にある昔からの民宿。
一階は食堂になっていて上がお部屋。
一つだけ目を引いたのは、おとり鮎販売の看板と生け簀。
へえ~鮎釣ができるきれいな川なんだ。
周りに民家はあるが、店らしきものは見当たらない。
町の雰囲気全くなし。

宿泊名簿に仙台と書くと、
「あらあ仙台ですかあ。家(この地区の漁協と思われる)で仕入れている放流鮎は
仙台から仕入れているんですよ。」
話を聞くと、近畿あたりはほとんどが琵琶湖の鮎を仕入れているそうだが、
この地域は何百万円もかけて仙台から運んでくるという。
仙台の水とここの水がとても合うのだという。
仙台との繋がりがこんな所にもあったのかと驚く。

夕食はもちろん鮎料理。こりゃたまらん。
宿の予約は、単に伊勢路のルート上か近いところ。
どんな宿かなんて全く見ていない。それが、思わぬ偶然を生むだのだろうな。
宿のご夫婦には鮎釣り、店の歴史などたくさんのことを教えてもらった。
おいらも子どもの頃、川での魚取りが日課だったので、話がどんどん広がった。

ちなみに、着いたとき。“ 古い民宿だなあ ” と思ったが、とんでもない。
鮎釣が解禁になると、5月から寝る暇もないぐらい忙しくなるのだそうだ。
1シーズン200人ほども来るという。失礼した。
ここで売っている “ おとり鮎 ” は、業者から仕入れるのではなく、
ご主人が釣ってくる天然物だという。
この川を知り尽くしている鮎だからこそ、縄張りを強く主張し、
結果、釣果も上がるのだろう。
釣り師が殺到するのも頷ける。

ただ一つ困ったことがあった。
周囲に自販機がないので、明日の飲み物が買えない。命取りだ。
おかみさんが、国道向かいにあるガソリンスタンドの自販機を紹介してくれた。
ありがたい。そんなとこにあったか。
とことこと夜の国道を渡り、スタンドに近づいた。
頭を下げながら、おんちゃんに自販機を指さした。
にっこり笑って、どうぞどうぞと手で合図された。
たすかるー。