mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん 高野山から熊野本宮大社へ(その5)

【5日目】4月11日(月) (晴れ 26℃ この日も暑い)
   熊野古道④「十津川温泉~果無峠~八木尾  10.4㎞」

◇朝靄の中にダム湖が見えた(7:42)


今日は、いよいよ本宮までの歩きだ。
これまでの中で、一番きついと覚悟し、7時に出た。
時間に余裕を持たせれば、なんとかなるはず。
これから,果無集落に向かう。

◇果無集落通過(7:50)

 
突然、桃源郷のような空間に出た。
空気も空も地面も春いっぱいだ。
民家が何軒か斜面に見えてきた。
なんていいところだ! 
きょろきょろ眺めていたら看板があった。
“ 人が生活しているので、8時前の活動は控えてください ”
まずいまずい。ぎりぎりだ。
熊よけの鈴が、チャらんチャらんうるさいので、手で押さえた。
スマホもしまい、ただ静かに通過しよう。
いくら世界遺産と言われても、部屋が丸見えの道を、
知らない人間がいつ通るかも分からない日々。
落ち着かないだろうな。
“ 畑とか庭とか花壇にも入らないで ” とロープで囲ってあった。
小さな池に魚も泳いでいるので、つい覗きたくなった。
あぶないあぶない。
駄目な旅のじいちゃんになるところだった。

小辺路登山口(8:15)


ここから本格的山道に入る。

◇こんなところに水田?(8:50)


40分ほど登ってきた山の中。猫の額にも満たない場所。
おそらく、初めから平らだったわけではなく、開墾したに違いない。
水はどうしたのだろう。
米に対する執念を感じないわけにはいかない。

◇眺望が開けた(9:16)


ひいひい登ってきた。
どの方角に向かって歩いているのか分からなくなる。
分からなくとも登山マップに従っていれば何の問題もない。
ただ、周りが山だらけなので、知りたくなる。
方位磁針で確かめると、やっぱり南だ。
ということは、今見えてるのは東の山々か。
大峰奥駆道はあっちのほうだろうか。

◇観音像はありがたい


一定の間隔で観音様が現れる。
毎回、手を合わせることにした。
何と信心深い。
いや、そうではなく、拝むにかこつけて足を止めることができる。
特に登りでは。
だから、ありがたい。

◇大休止「観音堂(9:40)


汗だくだったので休憩だ。
水が水道のように、じゃぼじゃぼ流れている。
もちろん顔を洗う。
ふえ~生き返るなあ。
ちょっと迷ったが、ペットボトルのお茶をごぼごぼと捨てた。
この水を持ち帰らずしてどうする。

釈迦ヶ岳はどれだ?(10:15)


もう少し登れば、峠だ。
あせることはない。
見える景色は、自分の目に納めよう。

◇何にも見えねえ「果無峠」(10:45)


峠と言うからには、眺望が得られるだろうと思いきや…
それでも、登りはこれで終わりだ!
よっしゃ!
“ 果無峠 ” 誰が付けたか恐ろしい名前。
人の住む山里から見ても、
果てがないほど山の奥ですよ、ということか。
あとは、ひたすら下ろう。

◇下界が見えてきた(12:00)


これから向かう本宮町だろうか。
かなり膝に来ているので、この先の七色分岐でお昼にしよう。

◇八木尾のバス停だ(13:40)

 
いやあ、もう足が、がくがくだ。
バス停は、この坂の下。がんばりましたな。

バス停に、小辺路の表示板があった。
ついうれしくなって、パチリ。
さあ、後は平らな道を5kmほど歩けばゴールだ。

熊野古道④‐2「八木尾~熊野本宮大社 4.6㎞」

◇あれ?こっちか
平らな道は楽だあ。2時間ぐらい何のことねえな。
でも、下界は暑い暑い。
バス停から30分ほど歩くと道の駅があったので、
ゆっくり休憩。
さらに歩いて行くと、「小辺路こっち」の看板。
バス道路から外れて、山道に向かう。
あら、山道終わったと思ったのに。

三軒茶屋跡(14:45)


なかなかいい橋があったので自撮り。
それだけの理由だった。
後で分かったことだが、
ここは、“ 中辺路 ” と “ 小辺路 ” の合流地点だった。


熊野本宮へと続く道。
山の道とは全然違うな。
観光地のにおいがする。

“ 展望台に寄ってみるがよし ” の看板に従う。


大鳥居が見えた。
この空間だけが開けていた。

回り道になったが、後はどんどん下っていった。
だいぶ疲れてきた。
エネルギーが切れかかっている。

◇「熊野本宮大社」にゴール!(15:45)

あ~やっと着いたぞ。
峠からの下りは長かったなあ。
ゆっくりと眺めると、本宮の建物は重厚で神々しかった。
思わず拝んでしまった。

さすがにここだけは、参拝者が絶えない。
こんなにたくさんの人、何日ぶりかで見た。


当初の予定では、今日のお宿のある湯峯温泉まで、
大日越ルートを歩いて行くつもりだった。
だが、そこまで頑張る元気がもうゼロだ。
バスなら10分。
それでいいじゃないか。
近くを散策しよう。

◇お宿到着(17:15)


 バスを降りると、女将さんが外で待っていてくれた。
というか、“ 今日来るといったお客さんは本当に来るのだろうか ”
と心配で出ていたような感じだった。
民宿に入るなり女将さんは、
「目の前が“つぼ湯”ですから、ぜひ入ってくださいな」と勧める。
でも、すぐには入れない。時間待ちをしなくてはならないようだ。
正直めんどくさい。この宿にも温泉があるので、ここで十分。
何百年も湧き出している湯、最高じゃないですか。
こんないい湯がありながら、“ つぼ湯 ” をまずは勧める女将さん。
いい人なんだなあと湯の中で思う。(つづく)