mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

人間賛歌の『 Coda ~あいのうた~ 』

 しばらく前に、センターつうしんなどで紹介できる映画はないかと友人に電話をしたら、「仕事が忙しくて、最近は見に行けてない」という。なにか素敵な映画があったら教えてくれと話していたら、つい先日メールが届いた。忙しいのに気にかけてくれていたのだ。せっかくなので、このdiaryで紹介することにします。  
 今年3月の第94回アカデミー賞で作品賞を受賞したこともあり、今ならまだ映画館で観ることもできます。よかったら映画館(フォーラム仙台)に足を運んでみて下さい。(キヨ)

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 私は、この3年間、特別支援学級を担任している。点数による評価が蔓延していること、宿題などの〇付けに翻弄されている自分がいること、協働による校内研究によって自分のやりたい実践とは違うことをせざるを得なくなっていることなどに、正直ちょっと離れたい気持ちがあったからだ。教科書だけに縛られない中で、自分が培ってきた実践の中から、その子に合った実践は何かを考えることで、自らの成長を模索している。
Codaとは「Child of deaf adults」の略語で、「ろう者を持つ親のこども」の意味だ。そして、今担任しているのは難聴学級だ。そんなこともあって、以前から「Coda」には惹かれていた。

 主人公のルビーは、両親、兄との4人家族で自分だけが健聴者である。小さいころから通訳としての役を果たし、生業の漁業でも欠かせない存在である。と、同時に歌が好きで、歌を生きがいに人生を歩もうとする。そんな娘ルビーと家族の葛藤を描いた作品である。

 観ていて驚いたのは、聞こえない家族を演じている役者全員が本当のろう者であるということ。これが、とても自然にスクリーンの中で活躍していて、役者として素晴らしいハーモニーを奏でている。そして主人公の健聴者ルビーは、手話ができて、心から震わせてくれるような歌声も届けてくれる。この4人でなければ、この映画は成り立たない。とても美しい作品で心が洗われた。

 これまでも素晴らしい映画をたくさん観てきているが、改めて伝えたいのは人間讃歌ということ。父親役のトロイはインタビューで「私たちは、ただの人間だということ。私たちは手話で話しているということだけ。それだけの違いです」と話しています。これまで受け持ってきた子どもも、今を懸命に生きているという意味では、何ら変わらないし、そういう珠玉のような場面に何度も立ち会ってきました。そして見識の狭いボクは、そういう人たちや出来事から今でも多くを学んでいる。
 相手が攻撃してきたから反撃する能力を持とうとか、作戦と称して戦争を仕掛けるそういう人たちに声を大にして言いたいです。
「懸命に生きている人たちと共に笑顔になろう! 武器も武力も要らない!」
                          (翔家ぱんだ  より)