mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

いろんな活動・交流のセンターへ!

 研究センターは、教育・子育てにかかわる取り組みを中心に教職員、保護者、市民のみなさんの活動も応援しようと、その時々の取り組みを紹介・案内してきました。先日(8月末)の事務局会議では、さらにもっと積極的に、例えば先生たちの小さな学習会やサークルなど日常的な活動もdiaryで紹介したり報告できたらよいのではとの話が出ました。どれぐらい可能か、今の事務局体制では心もとないところですが・・・。
  ❝ それじゃあ、まずは事務局メンバーが関わっている活動から ❞ と、矢部さんが学校体育研究同志会(同志会)宮城支部の9月例会の報告を書いてくれました。
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  同志会9月例会の報告
 総会後の第1回目の例会は、9月2日(土)に、同志会の歴史を学び直すということで、この夏の全国大会基調提案「同志会の歴史と課題」を読み合わせ、参加者で議論しました。
 参加者は大学生、教員、研究者など9名でした。大学生が参加してくれたことは、私たちが分かったつもりになっていたことを、もう一度確かめるとてもいい機会になりました。

◆「民間」の同志会ってなに?
 大学生から、「民間」とは何か分からないと言われました。戦中・戦後に体育・スポーツが軍国主義に利用され、お国の言いなりになって子どもたちを戦争に突き進ませてしまったことを痛烈に反省した教師達が、民主主義に根ざした学校体育の創造を目指し、「国家」の指示を無批判に受容しない立場を明確にして同志会を立ち上げたことを説明しました。教員採用試験に向かって指導要領を必死に覚えている大学生にとって、それを無批判に受容しない「民間」の立場というのは、まだなかなか理解できないことかも知れませんが、今後学習を続ける中で、理解を深めていってほしいと思いました。

◆どんな体育をめざすのか? 
  同志会は、すべての子どもがうまくなることを目指して、技術指導の系統性研究がされてきていますが、宮城同志会のメンバーの中から「体育はうまくするだけでよいのか」という意見が出てきました。それに対して、さらに参加者から ❝ では宮城の同志会は、どんな実践を目指しているのか ❞ という質問が出されました。体育の授業で、うまくするだけでない授業とはどういう授業なのか。これは、とても本質的な問題で、同志会全体としても、宮城支部の私たちも、今課題としていることです。

 同志会が考える体育の目的は「運動文化の継承・発展・変革・創造の主体者形成」、体育科教育で形成する学力は、①技術的能力②組織・運営・管理能力③社会的統治能力、教科内容は「運動文化に関する科学」と捉えています。また、実践をするときの課題を「3ともモデル」として図示し、「ともにうまくなる」「ともに楽しみ競い合う」「ともに意味を問い直す」授業をつくっていくことを目指しています。
 「ともに」ということについて言うと、今子どもたちは、たくさんのいきづらさの中にあります。発達課題を抱えている子、生活に課題を抱えている子、友達との関係をうまく作れず悩んでいる子、勉強が分からず苦労している子など、さまざまです。そういう子どもたちを見捨てず、できないことも子どものせいにせず、「ともに」学び、高め合っていく体育の授業をめざすということです。

◆ともに意味を問い直すとは?
 子どもたちと、「ともにうまくなる」こと、「ともに楽しみ競い合う」ことを目指すこと、この2つはすぐに理解できるでしょう。問題は、3つ目の「ともに意味を問い直す」授業です。これは、授業の中で子どもたちが示す疑問や矛盾・・・例えばバレーボールでいえば、ローテーションを入れるか入れないか。ある子は、ローテーションを入れない方が、うまい子が前衛にずっといて、そのチームは勝てると言うでしょう。またある子は、勝つこともいいけど、みんなが攻撃に参加したいと思ってローテーションしたいというでしょう。そこで、先生が決めてしまわず、多数決を取って決めるのではなく、自分たちはどんなバレーボールがしたいのかも確かめながら、子どもたちに話し合わせ、暫定的な自分たちのルールや方法を決めていくというものです。 これは、とても面倒な作業ですが、民主主義を学ぶとても大切な過程です。そして、ローテーションの意味や自分たちがバレーボールをする意味を問い直していく授業になります。
 例会ではバレーボールの例ではなかったのですが、こんな説明をしながら、同志会の目指す授業について、参加者で理解を深めていきました。とてもいい例会になりました。(矢部)