mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

研究センター、この夏のあれやこれや

 研究センターは、お盆の前後にしばらくお休みをいただきましたが、先週から気分も新たに再始動です。みなさん、今年の夏はどんな夏でしたか?

 昨年、一昨年は、コロナ禍で夏の主だった学習会や研究会は中止だったり延期だったりで、わりとのんびりした夏でした。
 ですが今年は、第7波のコロナ感染者増加にもかかわらず制限が出されなかったことや、この間のコロナ経験が蓄積された?のか、心配しつつも感染予防やオンラインなど工夫をしながら多くの企画や取り組みが再開されました。しばらく会えなかった友人たちとも対面でじかに会うことができ、コロナ禍とはいえ楽しい充実した時間を過ごすことができました。そんなセンターのこの夏の動きを、まさにDiary風に紹介・報告します。

 夏休みに入ってすぐの23日(土)、24日(日)は、去年はコロナで開催できなかった教職員組合の学習会に参加しました。しばらくぶりです。みなさん開催を待ち望んでいたのではないでしょう。多くの先生たちが集まり活気がありました。
 すこし前から研究センターでは部活動のあり方を含め、子どもたちの自治活動をどう教育活動として組んでいくのかが議論になっていました。学習会には教師の多忙化解消や部活動について新聞・マスコミなどで積極的に発言されてる内田良さんが講演講師とのこと。私と所長はもちろん、研究部長の久保先生も勇んで話を聞きにいきました。講演では、週の授業時数のなかに部活動を組み込み先生たちの多忙化解消も図ろうとする取り組みなども紹介されました。今後の議論の参考になる講演だったと感じました。

 翌週30日(土)は、午前中は研究部の取り組みについて協議、そして午後は、私たち研究センター主催の「夏休み こくご講座」。
 先週の組合学習会に続いての学習会となるため、参加者が集まってくれるだろうかとはらはらどきどきしましたが、約20名のみなさんの参加がありました。ありがとうございます。
 講座で取り上げたのは、4年生教材の「一つの花」。前半は講師の齋藤さんが文法的なことを丁寧に説明してくれました。後半は、文法的なことがわかると作品がどう読めるのか。次の2つの場面をめぐってさまざまな意見が出て、話し合いが深まりました。

【場面1】
 お母さんが、ゆみ子を一生けん命あやしているうちに、お父さんが、ぷいといなくなってしまいました。
 お父さんは、プラットホームのはしっぽの、ごみすて場のような所に、わすれられたようにさいていた、コスモスの花を見つけたのです。あわてて帰ってきたお父さんの手には、一輪のコスモスの花がありました。
「ゆみ。さあ、一つだけあげよう。一つだけのお花、だいじにするんだよう・・・。」
 ゆみ子は、お父さんに花をもらう、きゃっきゃっと、足をばたつかせてよろこびました。
 お父さんは、それを見てにっこり笑うと、何も言わずに汽車に乗って行ってしまいました。ゆみ子のにぎっている一つの花を見つめながら・・・・・・。

【場面2】
 それから、十年の年月がすぎました。
 ゆみ子はお父さんの顔を覚えていません。自分にお父さんがあったことも、あるいは知らないのかもしれません。
 でも、今、ゆみ子のとんとんぶきの小さな家は、コスモスの花でいっぱいにつつまれています。

 【場面1】では、「と」の文法的な使われ方を理解していると、この場面をどう読むことができるのかをめぐって。
 【場面2】では、「でも」という逆説の接続詞で結ばれた2つの文章から、どのようなことが読めるのか、見えてくるのかをめぐってでした。
 参加者からは「【でも】を深く話し合う過程が楽しすぎました。自分も深く考えることができたからです。」という感想をいただきました。

 1日空けて週明け月曜日の8月1日(月)~3日(水)は、臨床教育学会のみなさんと震災被災地域の学校関係者からの聞き取り調査と視察を行いました。震災直後からずっと続いている聞き取り調査です。今回は、南から福島の浪江、宮城の亘理荒浜・松島・石巻と調査に入りました。ちなみに私が運転できるのはベビーカーのみ。ということで、この3日間は目的地の最寄り駅までは交通機関を使っての移動で疲れました。でも一方で、ちょっとした旅気分も味わいました。
 これまでも聞き取り調査では、被災地域の実情を把握・知るとともに、臨床教育学会のみなさんからはセンターの取り組みや活動を考える上での多くの示唆とアドバイスをいただいています。

 このあたりで一息入れたいところでしたが、そうは問屋が卸しません。3年ぶりに開催された東北の先生方の学習会、東北民教研にも参加することになりました。
 記念講演は、多岐にわたるジャンルで著書を持ち、武道家であり思想家の内田樹さんでした。教育関係者や教育研究者とは違った視点・観点からの話で、昼食後の眠気も覚める講演でした。
 以上が、お盆休み前の主な取り組みでした。久しぶりに研究センターを飛び出して気分も一新、充実した日々でした。

 休み明けの先週は事務局会を開き、これからの取り組みについて話し合いました。みなさんの協力を得ながら、このコロナ禍でもできることを一つひとつ地道に取り組んでいきたいと思います。ご協力のほど、よろしくお願いします。(キヨ)