mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

時の流れ ~ コロナ禍の中で考える

 以前、私が不思議に思っていたことの一つに、見知らぬ土地へドライブなどしたとき、行きと帰りを同じ道を運転すると、復路の方がはるかに時間が短く感じることでした。そして最近では、年齢を重ねるごとに、時の経つのがとても早くなるような気がしてくること。あるいは子どもの頃は時間はゆっくり流れ、大人になると時間はたちまち経過する。そのような経験を誰もが感じているのではないでしょうか。

    そんな疑問を抱えながら、今から20年以上前のことになりますが、長女が大学受験のとき、試験が終わり東京から帰宅するやいなや、真っ先に報告したのが、英語の長文読解の問題が、冒頭の「見知らぬ土地へドライブ・・・」のことについて書かれた研究者の文章だったというのでした。そして、立て続けに、なぜだかわかる?と、得意気に質問されたのでした。私にとっても、それはなるほどと、長年の疑問が解けた日になったのは、いうまでもありません。

 そして、今回、コロナ禍の中で、部屋の整理をしていたら、過去の新聞切り抜き帳や読書メモがみつかり、読み直すと、信州大学の学長が入学式で引用した脳科学者の言葉が書かれている6年前のノート記録がありました。当時の「天声人語」の記事です。

『周りの世界が見慣れたものになってくると、時間が速く過ぎ去っていくように感じられる』のだと。見るものすべてが新鮮な子どもと、大人との違いは明らかです。
 そして同学長は新入学生に話を続け、自力で時の流れを遅くすることを勧めていました。その方法は、『新しいことを学び続ける。新しい場所を訪れる。新しい人に会う。すると脳の取り込む情報量が多くなり、時間はゆったりしてくる。それが創造的な思考を育てることにつながる』のだと。

 コロナ禍で大学へ入学はしたものの、一度もキャンパスで対面授業を受けていない、従って新しい友人もいない学生の話が報道されている。彼らはどんな時の流れを感じているのだろうか。
 これは決して人ごとではない。私の2020年はどうだったか。新しい場所、新しい人との出会いは、ほぼなかった。新しいことを学び続ける機会が少しあっただけといえる。

 新しい人との出会いの一つが、高校生公開授業でお世話になった京都大学の山極総長になる。その山極さんは、前述の信州大学学長の入学式と期を同じくして京都大学の入学式で「世界は答えのまだない課題に満ちあふれている。失敗や批判に楽観的であれ。『異色な考え』を取り入れよ」と呼びかけていました。
 今はただ、一日も早いコロナの終息を願って、今年最後の投稿にしたい。<仁>