mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

またもや慣例破り 新政権に引き継がれた手法

 9月30日の朝日新聞13面に、安倍政権の時、「法の番人」と言われている内閣法制局長官だった山本庸幸氏のインタビュー記事が掲載された。見出しには『人事の不文律破り 異論遠ざける交代』とある。山本氏は、集団的自衛権の行使を容認するために憲法9条の解釈を変更することは「従来通りできない」と拒否してきたことは周知のこと。そして内閣法制局の局長は、法務・財務・経済産業・総務の4省出身者が交代で、次長から昇格するという長年の人事慣行が破られ、新局長には法制局経験もない外務省出身の小松一郎氏が就任した。そして小松氏の就任を待つかのように、安倍政権は憲法解釈変更の議論を進め、就任1年を経て安保法を成立させたのでした。忘れもしない2015年9月の出来事です。

 そして翌日の10月1日、全国紙が未報道の中、新聞赤旗の1面トップで、また驚くべき記事が掲載されました。見出しは『菅首相、学術会議人事に介入』です。日本学術会議といえば、センターの高校生公開授業でお世話になった山極寿一さんが9月末まで会長を務めていたところです。日本学術会議は約87万人の日本の科学者を内外に代表する機関です。首相所轄ですが、政府から独立して政策提言などを行っていました。2017年には、当時の安倍政権が進めていた大学などの研究機関による防衛省の軍事研究への参加について、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と声明を出し、防衛省の軍事目的の研究に参加しない姿勢を明らかにしました。日本学術会議法は、210名の会員を、同会議の推薦に基づいて首相が任命すると定めています。任期は6年で3年ごとに半数が交代する慣例になっており、これまで同会議の推薦者が任命されなかったことはなかったのですが、今回、新会員として推薦されていた研究者の数名が外されていたというのです。安保法制や共謀罪などに反対した研究者が任命されなかったというのです。2020年10月1日も忘れる訳にはいきません。

 官僚のみならず研究者の中にまで「忖度」が拡大されるのではと考えるのは私だけだろうか。<仁>