mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん『中国自然歩道』を歩く8

鳥取砂丘から境港まで』迷いながら行く



【8日目】4月23日(火)/ くもりのち雨 20℃ 
 オプション島根県  ~ 出雲大社に行く


                    (島根県ウェブサイトから)

◆ まずは稲佐の浜
米子からの経路としては、足立美術館が先だが明日は雨。
雨の中の大社歩きは嫌なので、今日行くことにした。

 

この鳥居をくぐれば参道に入るが、左に折れて稲佐の浜に向かう。

意外だった。
広い砂浜の中に弁天島がぽつん。
店は一軒も出ていない。
観光地かと思っていた。

 

ここで拝んで、砂を持っていくことから出雲大社のお参りが始まる。
と、芦田愛菜ちゃんとサンドイッチマンの博士ちゃんで見た。
たしかに、何人かは砂を袋に入れていた

とても穏やかで静かなので、しばし日本海を眺める。

◆ 人の住むエリアを歩いてみる
神門通り(仲見世)から少し外れれば、民家がいっぱいあった。
途絶えることのない参拝客とは無縁の暮らし。
路地を歩いてみたくなった。

 

誰も歩いていない。
“しん”としていた。
気を抜くと、ここが出雲大社の地であることを忘れそうだった。

◆ “ 出雲そば ” を知る
お腹がすいた。もう昼時だ。
路地を抜ける途中、そば屋が何軒かあった。
しかし、どこも20人ほど並んでいる。
メイン通りからかなり入り込んでいるのにだ。

しかたがない、もっと奥まったところに行こう。
発見。それでも2、3人待っていた。
観光客というより地元のおんちゃんのようだった。
「ここは地元の人がよく使う穴場だよ。」と話しかけられた。
それを機に、この地のことをたくさんおしゃべりした。
待つこと20分。

 

 割り子蕎麦がきた。
ん? なんだこの旨さは!
かけるつゆがとんでもなく美味いじゃないか。
店の親父さんにそのこと告げると、
「どこから来ましたか?」と聞かれた。
あ~そういうことか。濃くて甘めのダシ強烈は、この辺では普通なんだ。
「東北は、割とあっさりだよね。地域特有の味を楽しんで下さい。」とのこと。

出雲そば ” は、単なる観光みやげと思っていたが、とんでもない間違いだった。

出雲大社本殿へ

 

拝殿はこの四番目の鳥居正面ではなく、左に寄っている。
拝殿奥にある本殿の屋根が拝めるようにだそうだ。

 

まずは拝殿で拝む。

 

本殿屋根の上のクロスした部分を “ 千木 ” と呼ぶそうだ。
どの神社の本殿にもあるそうだが、立派さにおいて出雲大社が際立っている。
と、そば屋で並んだおんちゃんが教えてくれた。

 

本殿裏から見る。

 

一の鳥居までの両側に仲見世が並んでいる。
広大な敷地を持ち、古い歴史ある神社だったと、歩きながら思う。

◆ なぜ、山陰の地なのだろうか
この疑問は、決して山陰地方を軽く見ているわけではない。
出雲は、現在の大都市と呼ばれる地域からずいぶんと離れている。
また、学校で習った歴史では、
この地が何か重大な役割を担ったという記憶も無い。
あるのは、“ 因幡の白うさぎ ” の神話ぐらいだ。
だから、自然と「なぜここに?」が出てきた。

ほんの少し調べてみた。
出雲大社が文献に登場するのは、8世紀初めに編纂された
日本最古の歴史書古事記」「日本書紀」とのこと。
大国主大神天照大神に国を譲る際に作らせた
壮大な宮殿というのが始まりらしい。
あくまで神話とされてきたのだが、
1984年に銅剣、銅矛、銅鐸が多数出土したことによって、
青銅器文化の一大中心地で有り、古代日本における
最大級の地方勢力だったことが明らかになっている。とのこと。
時代的には4世紀後半。ヤマト王権倭国が成立していた時期と重なる。
その頃の土器や勾玉も出てきていることから、
すでに神への何かしらの祭祀が行われていたと推察される。
つまり、神話で語られるよりもずっと前に
出雲大社が存在していたということになる。

そこで、地理的な疑問。なぜ、ここなのか。
古代の出雲は、島だったようだ。
島と本土との間が内海になっており、
船が停泊するには波風の影響を受けない良港だった。
朝鮮半島南部から直線で30km。
大陸との交易を行うにはうってつけの条件にあった。
当時の物流の経由地として、勢力は自ずと拡大していったに違いない。
そのシンボルとして出雲大社を作ったのではないか、という説もある。
それは、「古事記」「日本書紀」で紹介されるよりもずっと前のことになる。

聞きかじりなので、かなり怪しい説明だが、
交易によって栄え、勢力を強めていった地なのである。
ふむふむ、山陰で、しかも海の近くなのはそういうことか。
ここにそんな歴史があったなんて、初めて知ったわい。
勉強になりました。

明日は最終日。
足立美術館だ。