mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

詩ってなんだろう? ~ 学習会で語られたこと 1~

 3月に入ると、どの教科も復習やまとめの単元となり、これまで足りないと感じた部分を工夫しながら授業することになると思います。コロナの感染拡大に日々怯えながらの授業準備、さらにchromebook をどこでどう使うかなど、時間はいくらあっても足りない毎日が想像されます。このような時期に、詩を取り上げる余裕など見つからないかもしれませんが、12月の「こくご講座」の内容を少し紹介します。
 今すぐ取り組めなくとも、教科書に詩は載り続けるわけですから、「詩とは何だろう」「子どもと読み合う意味はどこにあるんだろう」という大きな視点で考えてみることも大事ではないかと思っています。(以下、Kさんの学級通信から)
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【4月の教室風景 3年生】

      
     原田  直友

 ヒバリは歌をうたうし
 お日さまはぽかぽか
 せなかをあたためるし
 土手のじぞうさまは
 さっきから
 こっくり
 こっくり

 何回も読んだ後、どんな様子が見えるかを言わせました。「ヒバリが歌っている」などいろいろ出ます。(なかなかいい。でも、だれも人が見えるとは言わない。人が見えないとまずいな)。いろいろ言わせておいて、「うん、なかなかいい。ところで、この詩の中に人は見えますか、見えませんか」と言いました。最初は誰も見えるとは言いません。いや、見えないというのです。そこで、「先生には見えるんだけど」と言うと、子どもたちは少しあわてました。すると、フミエさんが「歌を歌うように聞いている人がいるし、じぞうさまを見ている人がいるからじぞうさまはこっくりこっくりと書いたんだ」(よし、フミエは見えてきたぞ。フミエはなかなかいい感覚をもっているぞ。このような子に授業は助けられるな。そうら、フミエの話を聞いて子どもたちが動き始めたぞ。手が上がり始めた。人が見えてきたぞ。よしよし)と私。それをきっかけに、しだいに「人が見える」と張り切って早く言いたいという子が増えてきました。「お日さまをぽかぽか感じているのは、そこにいる人だ」「じぞうさまがこっくりこっくりというのはそうぞうだから、それを想像している人がいるのだ」(じぞうさまはこっくりこっくりというのは見ている人の想像だなどなかなかいい)、どんどん出されました。

 その後、「場所はどんなところでしょう」と聞きました。すると、ツネユキくんが「山里のようなところ」(すごいなあ、山里などという言葉を知っている。ツネユキなかなかやるじゃない。)と言うのをきっかけに、なかなかいい情景をたくさん浮かべるのでした。その話の中で、タケノリくんが「川も見える」と言うのです。

 「どこで川が見えるか」と聞くと、初めみな困っていたのですが、「分かる言葉が詩の中にある」と言うと、あわてて探し出し、ユウカさんが「土手でわかる」と言いました。そこで、土手を説明したあと、「先生が生まれたところは、北上川という大きな川が流れていたの。その川のことをちょっと話すと」と言うと、「勉強が遅れる」と言う声。(なになに、ベンキョウが遅れる? バカ言うな。ベンキョウってなんだ! 教科書を手にするだけがベンキョウじゃないぞ。本当のベンキョウはみんなの中にあることをわからせなくては!)。びっくりした私は、声を大きくして「そんなこといいの」「ベンキョウがおくれてもいいの!」と言っておいて、小さいころの川の思い出話をベルが鳴るまでするのでした。もちろん、詩は半分でこの日は終わりになってしまったのです。
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 初めて出会った子どもたちとの授業のようです。発言を通しながら、その子の良さを感じ取り、言葉からイメージが膨らむさまをみんなで学んでいます。教師の心の声も、隠すことなく家庭に届いていきます。(正)