mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

高校生の震災犠牲者の調査にご協力ください。

 すでにお読みになられた方もあると思いますが、3月2日(水)の河北新報朝刊「持論時論」に当研究センター所長の投稿が掲載されました。あらためて、このDiaryでも紹介します。
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  高校生の震災犠牲者 避難の実態 調査が必要
              みやぎ教育文化研究センター所長  高橋達郎

 東日本大震災によって宮城県内の公立小中学の児童生徒は行方不明を含め261人(県教委調べ)が犠牲となった。彼らはどのようにして命が奪われたのか。震災翌年2012年4月から2年間、県教職員組合委員長を務めた私は、市町村教委の協力を得て調査した。その結果、保護者への引き渡し後に津波に巻き込まれた、海が見えない石巻市街地や仙台市南部沿岸地域では避難が遅れたなどが原因と分かり、貴重な教訓が得られた。これに対し、行方不明を含め87人(同)が犠牲となった公立高校生はあの時、どのように行動したのか、いまだに不明である。高校生避難の問題点はどこにあったのか、明らかにする必要がある。
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 私は2年前、高校生の犠牲者について各高校からの事故報告書と、県教委による調査報告書の文書開示を請求した。回答は「各学校からの報告書の提出はない」「県教委として調査報告書は作成していない」だった。再審査請求により、当時の各校のメモが発見されたと部分開示があったが、犠牲となった高校生の具体的な被災状況の記述はなかった。
 当時の混乱を考えれば仕方がないかもしれない。だが、県立学校の管理に関する規則で、死亡事故、異例の事故が発生した場合、校長に状況の報告を義務付けている。小中学校は11年5月までに事故報告書を各教委に提出した。高校には報告を求めるべきだった。
 失敗学の畑村洋太郎東大名誉教授は「犠牲者が出た事故では、その状況を調査し原因を明らかにすることによって、再び同じ失敗を繰り返さない教訓が得られる」としている。87名はなぜ命を失ったのか、防災教育のどこに不備があったのか、それを知るには具体的な「事実」が必要だ。「事実・事例」が災害の予見力を高め、今後の行動指針となる。
 だが、犠牲となった高校生については、いまだに調査されていない。これでは教員は高校生にその「事例」を伝えられない。県教委が作成した高校生用の防災教育の副読本「未来への絆」(16年3月発行)には、犠牲者数すら載せられていない。一昨年、石巻市大川小津波訴訟において遺族の勝訴が確定したことを受け、招集された「宮城県学校防災体制在り方検討会議」に高校教育担当の県教委高校教育課は参加していない。
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 高校生たちはどんな状況で命を失ったのか、明らかにするのは命を守り、育てる教育者の責務であろう。震災から11年、今からでも遅くはない。県教委は高校生の犠牲者の実態を調査し具体的な事例と教訓を明らかにすべきだ。
 だが、その動きがないので、私は昨年から独自に調査を始めている。部活動後の下校中や、アルバイト中に犠牲になった事例が複数報告されている。協力した教職員からは「生きたくても生きられなかった多くの高校生を決して忘れてはならない」と添え書きしてきた。高校生が犠牲になった状況などをご存じの方は、みやぎ教育文化研究センターまで情報をお願いしたい。連絡先は022(301)2403。

※ なお当研究センターは2人体制、しかも外での仕事やコロナによるテレワークなど で研究センターを空けることもあります。
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 所長の高橋が現職教師のときから、ずっと気になっていた高校生犠牲者の最期。小中学生については行政も含め記録が残されたものの、高校生犠牲者についてはなされていません。その行政としての無責任さ、不誠実さはもとより、今の現状をよしとしてしまう私たちにも責任があるのではないでしょうか。誰かが調べればいい、するだろうでは、もう時間的にもすまされないのではないでしょうか。
 亡くなった高校生たちの最期を記録にとどめ明らかにすることができるのは、生きている私たちです。犠牲者は何も語りません。調査し記録に、そして記憶に残すことで、亡くなった高校生たちと生きている私たちはつながることができると思うのです。
 当研究センターは、宮城・仙台の小さな研究所ですが、ご理解・ご協力をお願いします。(キヨ)