mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

子ども・保護者を支え励ます取り組みを

 前回に引き続いての河北新報「持論時論」の紹介となります。2月2日に遠藤利美さんの投稿が掲載されました。遠藤利美さんの投稿といい、その前の高橋幸子さんの投稿といい、そこに共通しているのは、学校という場に生きづらさを感じている子どもたちに対する信頼と尊重のまなざしです。
 私たちセンターとも関わりのあるこうしたみなさんが、それぞれにそれぞれの思いを発信してくれていること、そして、そういうみなさんに支えられながら仕事をしていることに心強さとうれしさを感じます。以下、遠藤さんの「持論時論」を紹介します。

 不登校問題の解決 子どもに共感と支援を


 仙台市教委は昨年12月、小中学生の不登校対策を検討する委員会を設置しました。文部科学省調査によると、2016年度の全国の不登校の割合は、小学校で330人に1人、中学校で37人に1人。中学校では1クラスに1人が不登校の計算です。不登校は今やどの子にも起こり得ることであり、特別なことでもおかしいことでもありません。検討委員会は、今苦しんでいる生徒や保護者を支援する態勢をいかにつくるかを、最優先課題にしてほしいと思います。
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 不当校問題の解決には、子どもの行動の裏にある「内なる声」を読み取れるかどうかが鍵となります。本格的な不登校になると、ゲームやネット、スマホに依存して夜更かしが多くなり、昼夜が逆転しがちです。学校に行けない自分自身への罪悪感から逃れるための行動です。ともすると怠けた行動に見えますが、目に見える行動の裏にある原因、本人のつらさに大人が共感できるかどうかが大きなポイントです。
 不登校の子どもたちは極度のエネルギー低下の状態にあります。不登校の時期は、そのエネルギーの充電に必要な期間と捉えるべきでしょう。しかし、毎日子どもの様子を見ている親も大きな葛藤を抱えます。頭では理解していても、世間の目が気になるし、子どもが目の前でゴロゴロしているのを見るのはつらいものです。この時、親を励まし支えることが学校や市教委の大きな役割になります。「親はあなたの見方だよ」というメッセージを子どもに伝え続けることが決定的に重要です。そこを支えてほしいのです。
 最終目標は学校への復帰だとしても、それを達成するために「学校に行きなさい」と繰り返せばいいものではありません。大事なのはエネルギーの充電です。「私たちはあなたの見方」「つらいよね。分かるよ」という親の言葉があれば、安心して自分自身と向き合えるし、心が癒やされます。また、本人が好きなことや興味のあることをどんどんやらせ、頑張りを褒めてやることも大切です。親から認められ褒められることは、自己肯定感を高めエネルギーの充電を促します。周りが罪悪感を軽くしてあげることです。親が自分をそのまま受け入れてくれたと感じる時に、回復に向かうでしょう。
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 学校での対応では、横浜の市立中学校の取り組みが参考になります(教育専門誌『内外教育』17年8月号)。不登校生徒が30人もいたのを、1年半で1人にまで減らすことができたのです。その子たちのために特別支援教室を設け、専属の教員を複数配置して個別に手厚い対応をしたことが奏功しました。「学校の大きな流れに適応できる」生徒を多数派と考えると、少数派も必ずいます。それをサポートするシステムが、学校には不可欠だとする考えです。
 そのためにも、必要なのは人です。仙台市教委には、子どもたちや保護者をさまざまな取り組みで支え励ます学校現場を、十分な人的措置で支えることを期待したいと思います。

 学校や教室という場に息苦しさや生きづらさを感じている子どもたちにとって、特別支援教室のような場が設けられることは一つの手立てとして大切だろうと思います。しかし一方で、なぜその子たちがみんなのいる教室には来ることができないのか? そのことも同時に考えていきたいと思います。( キヨ )