mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

これからの部活動、どうしていくか?

 教師の多忙化が言われるようになって久しい。教育行政も重い腰を上げ「働き方改革」を言ってはいるが、英語や道徳、タブレットによるICT教育の本格的実施、さらにはいじめのアンケートにその対応、保護者からの学校に対する様々な要望等々、教師の仕事は減るどころか増え続け、一向に改善し働きやすくなったという声は聞こえてこない。
 この「働き方改革」の課題の一つに部活動がある。生徒たちにとって部活動は楽しみの一つだが、同時に多くの課題も山積している。少し前になるが、センターに協力いただいている中学校教師の遠藤利美さんの投稿「公立校の部活動改革 信頼関係の醸成が土台」が、河北新報の「持論時論」に掲載された。よりよい部活動のあり方について考えていければと思い、以下に紹介します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  公立校の部活動改革
  信頼関係の醸成が土台

 公立中学、高校の部活動の改革に向け動きが出ている。教科学習とは異なる集団で行われる部活動は、重要な学校教育であることは言うまでもない。しかし、これまでは、教師の家庭生活や私的時間を「犠牲」にした勤務の上で成り立ってきた経緯がある。休日出勤を含む長時間勤務の主因にもなっている。これは、子育てや介護などで時間をやりくりすることが難しい教師にとっては、大きな心身の負担である。競技経験のない教師が顧問になった場合、生徒は専門的指導が受けられない、とも指摘されている。これらの課題解消が期待される。
  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆
 昨年9月、文部科学省は「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」をまとめた。その中で部活動を「必ずしも教師が担う必要がない」と位置づけた上で「段階的に地域に移行する」方針を打ち出した。部活動の主体を学校単位から、地域単位へと移すのだ。自治体に監督責任を持たせ、保護者や教員らでつくる指導グループなどの地域団体、総合型スポーツクラブ、芸術団体に部活動を委託する。
 第一歩として2023年度以降、「休日の部活動の段階的な地域移行を図る」としている。完全移行まで、平日に行われる「学校部活動」と、休日に地域で行われる「地域部活動」に分けて考えることになる。具体的に言えば、教師は休日の部活動に関わらないか、兼職兼業許可を得た上で指導を続けるかを選択することになる。
 宮城県内では本年度、2中学校が拠点校に指定され、着実に地域移行を推進するための実践研究が進められている。生徒にとって望ましい部活動と、教師の負担軽減の両立を模索している。
 一連の動きに対し、現場の教師からは歓迎の声が上がっている。文科省が部活動の指導をしない選択肢を示したことで、これまでの休日出勤を含む超過勤務が是正される上、経験のない競技の指導を求められることもなくなるからである。授業に専念できる本来の環境が整うことになる。一方で、「計画通り地域に十分な受け皿が準備できるか」「競技に対する知識、技能を有し、教育的に育成できる地域の人材が確保できるか」という不安の声も聞かれる。
  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆
 これらの懸念を払拭するため、各県教委や学校は、23年度以降に向けた部活動改革の道筋を示した上で、委託する団体と受け皿をどのようにつくるのか話し合い、その見通しなどの情報を保護者と生徒に提供することが求められる。一連の動きを受け、学校現場では新しい部活動の在り方について意見を交換したり、各顧問が今後の生活設計を見直したりする動きが出てくるだろう。
 大切なことは、学校と顧問、地域の指導者、保護者が部活動の運営方針について十分に話し合える関係を築くことだ。風通しが良い情報交換、信頼関係の醸成が生徒にとって「真に望ましい部活動」の土台となる。教育委員会にはスムーズな部活動改革に向け、いっそう力を尽くしてほしいと思う。