mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

よっちゃんと「虫愛づる姫君」

 先日、わが家のよっちゃんが職場の人事異動の件で「あなたの得意なものは何?」と聞かれた。これと言って即座に思い浮かばず、しばらく思案した挙げ句「しいて言えば、虫を捕まえることですかね??」と、答えたという。上司もびっくりしたに違いない。とは言うもの、本人はそのトンチンカンな答えを全く気にしている様子はない。それどころか、そんな話を台所で私にしながら楽しそうに皿を拭いている。

 そう言えば、しばらく前に職場のストーブの排気口に迷い込んだ鳥を逃がしたついでに掃除したら、なかから白骨化した鳥の死骸が出てきたという。よっちゃんは、その白骨化した鳥の完璧な骨格の美しさに惚れ惚れしたことを、家に帰ってくると喜々として報告してくれた。ただ、その場にいた同僚は言うまでもないが、よっちゃんのその様子に畏れをなしたようだ。何であんなきれいなのに?と、よっちゃんは意に介さない。

 そのよっちゃんは、中村桂子さんの大大大ファン。今回の高校生公開授業をずっと楽しみにしていた。中村さんの話を高校生の後ろで聞いて、自分も授業を受けたように満足した。家に帰ってくると、中村さんの話に出てきた美しい花やチョウではなく、幼虫(毛虫)を愛でるという堤中納言物語の「虫愛づる姫君」がいたく気に入って、「虫愛づる姫君は、私みたいだわ!」と興奮し、一人ではしゃいだ。私は何も言わずうんうんと聞いていたのだが、「姫君ではないでしょ」の息子のつぶやきが・・・ 一瞬にしてよっちゃんの昂揚していた気持ちに水を差すことになってしまった。

 女性はいくつになっても姫なのに、息子はまだまだ修行が足りなかったようです。まあ、こういうことはどこの家でも、ありますよね。(キヨ)