mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

懐かしい歌「村の鍛冶屋」~三年前の思い出から

 日記をめくっていたら、ちょうど三年前の今日29日、前進座の「ちひろ」の仙台公演を観てきた日だった。画家いわさきちひろの生涯を鵜山仁さんの演出で演じた味わい深いものでした。日記には劇中の一場面からうれしいエピソードをメモしていた。
 舞台の中で歌われた「しばしも休まず槌打つ響き、飛び散る日の花 走る湯玉……」で始まる『村のかじや』。年配の方であれば誰しも口ずさんだことがあると思う元文部省唱歌です。ボクはこの歌は2番までしか習ってきませんでした。しかし3番4番があったのです。ちなみに3番の歌詞は「刀は打たねど大鎌小鎌 馬鍬に作鍬 鋤(すき)よ鉈(なた)よ 平和の打ち物 休まず打ちて 日毎に戦う 懶惰(らんだ)の敵と」
 まさに鍛冶屋の矜持を歌ったものといえます。しかし昭和52年に文部省は、ふさわしくない(私の憶測だが)ということで文部省唱歌から除外したのでしょう。昭和52年当時、この国ではどんなことがあった時期かを考えて教育年表を繰ると、第五期の学習指導要領改訂の時期で、道徳教育の重視が書かれている。この後には国旗・国歌の指導が強化されていくのです。
 舞台ではこの3番4番もしっかり歌っていました。ちなみにこの曲は作詞・作曲が不詳。手元にある村井実の著書「もうひとつの教育」(小学館)では、アメリカのロングフェローの「村の鍛冶屋」の詩が原型かもしれないと英詩を引用しながら紹介しています。しかし、その説も村井のその後の調査研究で不確かなものとなるのです。やはり奥の深い、謎の多い曲なのです。<仁>