mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

日本人が戦争体験を通じて得たこと

 私は、時々、小田実の書いたものを読む。そのわけを聞かれるとうまく説明ができないが、ベ平連運動がわかりやすかったように、書いてあることもわかりやすいことにあるかもしれない。ベ平連の「だれデモ入れる声なき声の会」「来るものは拒まず、去るものは追わず」もいい。見る人にとっては「いいかげん」が気になったかもしれないが、隙間だらけがあるときに、それぞれが自分を考えないといけなくなるし、その集まりの幅の広さの必要性を感じ、他の考えをも真面目に聞き考えるのではないか。

 小田さんも鶴見さんもよく書いた。書いたものは読まれなければならないだろうが、小田さんのものを読むと、自分自身に言い聞かせているために書いているような気さえしてくる。

 小田さんが、宮城の「9条の会」の集会に来たことがあった。傍から見ても相当体が弱っているように見えたが、デモ行進の先頭に入り、最後まで歩いた。その姿を見ても、自分のために歩いているように私には見えた。
 その後間もなく、訃報が入った。 

 今読んでいる小田さんの文から、少し抜いてみる。

 「日中戦争・太平洋戦争を経て、日本の国民が獲得した唯一のものが、『殺すな』という原理だ。この、殺したらいかんという気持ちは全世界にとって意味のあることだと思う。」

 「日本の中では、日本人はあまり意識していないことだけれど、太平洋戦争末期には、日本は全世界を相手に戦ったことになる。・・・戦わなかった国は、ポルトガルとスペインと、あと二つか三つぐらいしかない。・・・・だから我々は最後のところで全世界を相手に戦ったことがあるんだという認識を持った方がいい。そして全世界を相手にして終わった。。そこで獲得したのは、その悲痛な体験から、全世界と仲良くしようということを肝に銘じたということなのだ。」

 「全世界の人間と仲良くするということは、全世界の人間と対等に平等にやりたい。つまり、もう植民地を持つなんてコリゴリや、ロクなことない。いろんな意味でちっぽけな国だから、全世界の国と人間と、対等に平等につきあいたいということだ。家来にしたくもないし、されたくもないという論理をたてたんだと思う。」 

  小田さんは今いないからだが、こんなことを書いていた小田さんは、現在の北朝鮮問題についての安倍首相の発言、そしてトランプと組んで「圧力」を言いつづけていることをどう聞くだろうか・・・と思う最近である。( 春 )