mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

強制や努力による笑いほど、笑えない話はない

 「はて? これ、冗談ではないよなあ?」思わず独り言(ごち)た。山形県議会厚生環境常任委員会で「山形県笑いで健康づくり推進条例」が可決されたと新聞で読んだからだ。条例案は「一日一回は声を出して笑う等、笑いによる心身の健康づくりに取り組むよう努める」とし、笑うことを県民の努力義務としているのだ。

  「なにすや!?」百歩譲って「笑いは心身の健康のもと」に一理あるとしよう。でも笑えばいいというものでもないだろう。いわんや「無理な笑い」は考えただけで不健康そうだ。逆に今の世の中、まともな感覚であれば怒りがこみ上げてくるような出来事が多く、腹を立ててプンプンしていた方がよほど健康的にも思える。

  おそらく議案提出者は「笑顔で暮らせる社会の実現こそが県民の健康と幸せを生み出す土台になる」という思いを伝えたかったのだろう。であれば、そういう意思表示をすればいい。行政が笑うことを強要するかのような法律は望ましくない。

 では笑顔で暮らせる社会とはどんな社会だろうか。普通に働いて生活ができる賃金が得られる社会。社会保障が充実し安心して家庭を持つことを考えられる社会。まわりから自分が大切にされていると感じる社会。多様性が尊重され、誰もが生きやすい社会等々。行政の責務はそれらの多様な願いを叶える具体的な施策の実現だ。そうなれば黙っていても山形県全体に笑顔の花が咲き、健康で長寿のさらに素晴らしい県になることだろう。(エンドウ)