コロナ禍の中、冬のオリンピック(北京)の報道が朝から深夜まで続く毎日。あまりウインタースポーツには興味がない中で、男子のフィギアスケートの羽生選手の動向はやはり気になった。結果は世界中の期待には及ばなかった。そんな時、とても興味深い一つの新聞記事に出会った。それは羽生選手たちを破り金メダルを獲得したネーサン・チェン(USA)を紹介した翌日の朝日新聞(2月11日付)。
記事によると、ネーサン・チェンは2018年のピョンチャンオリンピックで金メダル候補でありながら総合4位に終わったあと、悩んだ末に「スケートから一歩、遠ざかってみよう」と、普段の生活で競技を考える時間を減らしたというのである。そしてテニス、ギター、ウクレレ、料理等々、趣味はどんどん増え、リンク以外の情報に積極的に触れたという。さらに大学への進学も大きく、何よりもスケートに興味のない友人たちができたという。同年代が何に関心を示し、どんな目標を持ちながら何に心配しているのか。友人たちの喜怒哀楽を見るうちに、競技に対する取り組み方が変わっていったというのである。
私が見聞きしてきた数多くのスポーツ選手、トップアスリートたちには、ネーサン・チェンのような向き合い方をしている選手はいないような気がする。いや、知らないだけかもしれないが、いずれにしても人間の成長・発達に何が必要なのかを考えさせられた記事であった。 <仁>