mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

【 映画の紹介】ゴールデン・ウィークは終わったけど

 ゴールデン・ウィーク、どう過ごされましたか。私は、映画を2本観ました。1本はスピルバーグ監督の「ペンタゴン・ペーパーズ」、もう1本は韓国映画の「タクシー運転手」。

 観終えて気づいたのは、2本とも史実をもとにした作品で、歴史的真実・出来事を世界に公表し明らかにするために苦闘する人々の姿を描いているということです。「ペンタゴン・ペーパーズ」は、ベトナム戦争に関する政府にとって公表されては都合の悪い最高機密文書をめぐって、「タクシー運転手」は、軍事独裁の韓国で民主化を求める光州の学生や市民を軍部が弾圧、虐殺した事件(光州事件)をめぐってのものです。
ペンタゴン・ペーパーズ」は、夫の死によって思いがけずワシントン・ポストの社主となったキャサリン・グラハムが、同僚のベン・ブラッドリーらに支えられながらジャーナリストとして、また社主として成長していく物語です。また、昨年から今年にかけて#Me Tooが話題になっていますが、映画の舞台は1970年初めです。今よりもずっとずっと女性差別や蔑視、社会進出もままならない時代に、一人の女性が自立していく作品として見てもよい映画だと思いました。

 歯切れよくシリアスに展開していく「ペンタゴン・ペーパーズ」に対し、「タクシー運転手」の前半は、日本の寅さんがひょっこり顔を出てもおかしくないような庶民の生活や笑い、人と人とのつながりをほのぼのと感じさせます。ところが舞台が光州に入ってからははらはらどきどき手に汗握る場面、ときに涙涙の展開となります。

 両作品とも歴史的真実や事件を明らかにしようと苦闘する人々を描いていますが、その描き方はある意味で対照的かもしれません。「ペンタゴン・ペーパーズ」は、報道という社会的な使命と役割をもった組織を舞台に、女性という弱い立場とはいえ社主であり、また上流社会に生きるキャサリン・グラハムを中心に展開していきます。
 一方「タクシー運転手」はというと、光州事件を世界に発信しようと乗り込むドイツ人ジャーナリストと、社会や政治の動きやあり方にはまったく関心がなく日々の生活を営むことで手いっぱいのタクシー運転手の主人公を中心にしながらも、あくまで市井の人々との出会いと別れを通じて展開していきます。そこにある種の歴史観の相違をみてとることができるかもしれません。

 どちらもオススメです。ちなみに両映画とも宮城では、現在フォーラム仙台で上映中です。なお「ペンタゴン・ペーパーズ」は、今週5月10日(木)までの上映予定となっています。( キヨ )

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