mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

第4回 仙台市いじめ対策等検証専門家会議を傍聴して

 第4回仙台市いじめ対策等検証専門家会議(以下、専門家会議)が、年明けすぐの1月12日(金)に行われ、第1次提言・案についての話し合いを持ち、週明け15日(月)には、早々と郡仙台市長へ第1次提言を提出。さらに1日おいた17日(水)には、総合教育会議の場で、この第1次提言が議論されました。いじめに関する取り組みが遅々として進まないと新聞各紙で報じられていただけに、ここにきてとてもスピーディーで手早い対応だと感じました。ただ、この素早い対応はいじめという重い課題にふさわしく真剣に受け止めてのものと考えてよいかは、簡単に言えないなあとも思いました。以下、雑感を述べます。

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 第3回いじめ対策等検証専門家会議については、すでにdiaryで感想を述べましたが、そこでの議論の低調さ、検証とは名ばかりの実態を考えると、この段階で第1次提言を出すというのは、あまりに性急だと感じました。会議の進行を務める石巻専修大学教授の木村民男会長は「予算編成が佳境に入っている。そう急な着手が望ましい項目を中心に委員の意見を集約した」(河北新報)と言うように、この第1次提言が検証を踏まえてのものというよりも予算編成という時期を優先させてのものだということを率直に語っています。
 そのため出席した複数の委員からは、この段階での提言をどう考えたらいいのか戸惑いや異論が、会議冒頭でずいぶんなされました。朝日新聞は「提言素案『抽象的』委員から異論相次ぐ」との見出しで、そのあたりのやり取りを「予算に盛り込むことに配慮するなら、提言は具体的である必要がある」、「事務局は『いずれも重要施策』と言っている。穴があるところを早急に埋めるべきで、抽象論でいいのか」と伝えています。また専門家会議の第1回議事録には、事務局と庄司委員との間での次のようなやり取りも記録されています。

●庄司委員
確認ですが、第1次まとめというのがありますが、これは具体的に何かまとめた書類、提言みたいなものを提出するということが予定されているものですか。

●事務局(コンプライアンス推進担当課長)
この会議におきましては、例えば、答申や報告書のような形で会議の総意としてのものを作っていただくことは予定しておらず、随時皆様からご意見、ご議論を頂戴するということになっております。「第1次まとめ」と記載していますのは、そこまでの主だった意見をまとめて一度振り返る機会を設けたいと、そのような趣旨でございます。

 ですから委員のみなさんも、今回の第1次提言と言っても「第1次まとめ」として、これまでの主な意見を振り返るものという程度の認識だったのではないでしょうか。よもや予算に反映されることを前提にしたような提言がまとめられるとは予期していなかったのではないかと推測します。各委員からの会議での発言は、この会議の性格や意味づけを改めて確認し疑問を呈したものとして委員たちの良識を感じますが、残念ながら会議は予算編成ありきの事務局と木村会長の運営で進められる形となりました。いじめ問題は早急に取り組む必要があるからやむを得ないのだと言うことなのでしょうが、やはり検討もないままの予算措置で大丈夫なのでしょうか。転倒した会議運営のあり方が、今後の具体の検証にも影響しそうで心配です。
 次に提言の中身についてですが、いくつか新たな手立てや取り組みが述べられてはいますが、特に目新しい施策はないように思いました。予算編成を睨んで、これまで行ってきた施策の拡充・強化という観点での提言がほとんどでした。
 しいて目新しい施策と言えば、前回3回の感想でも述べたコミュニティ・スクールの導入ですが、いじめ問題に便乗して導入しようという感じを受けました。地域と学校が連携することの重要性はわかりますが、きちんとした議論と検討が必要だと思いました。

 ※ ちなみに17日に行われた総合教育会議は、第1次提言を各教育委員が追認す
  る形で意見を述べるにとどまる内容でした。そういう性格の会議なんでしょう
  か?( キヨ )