2016年も最終週に入った。年々、嫌なことが増えているような気がして、長生きしていても気が滅入る。「人間なのに」なのか、「人間だから」なのか・・・、私は後者のように思うようになってきている。こんな自分がなんとも寂しい、人を信じて終末になりたいと願っているのに・・・。
古本屋通いが楽しみを増しているこのごろだが、先日、友人との待ち合わせの時間つぶしで入った本屋で、復刻新装版「憲法と君たち」(著者・佐藤功)を買った。著者は、有名な憲法学者で、戦後、新しい憲法作成にも深く関わった方である。その著者が1955年に少年少女たちに向けて書いたのが「憲法と君たち」。それが今年の10月に復刻されたのだ。
やりきれないことの多かった今年だったが、読み終えて、身の周りの黒いものが消し去られ、清々しい気もちになることができた。復刻に関係された方々に深く感謝したい。
佐藤さんは「まえがき」の中で、次のように述べている。
それぞれの国の憲法は,その国の国民がどのような理想を目ざしているかをあらわしたものだということができます。日本にもりっぱな憲法があります。それはほかの国ぐにの憲法にくらべてもわたしたちがほこってもよいりっぱな憲法です。君たちも、いまにどんどん大きくなって、君たちの国、この日本をせおって立たなければならないのです。だから、日本の憲法がどんな憲法なのか、そしてそれを守るためにはどうすればいいのかということを、君たちにも今から知っていてほしいと思います。
佐藤さんは,このように願って「憲法と君たち」を書いたのだが、今、世界にほこるべき憲法が、だれの、どんなもくろみなのか、大きくゆらいでいる。
佐藤さんは、この本を次のように結んでいる。
佐藤さんは、「もっとくわしく憲法のことを知りたいという気持ちになったら、先生やおとうさんなどにうかがって・・・」と書いていることから推すと、憲法がぐらついているのは「教育の責任が小さくない」と言うのは過ぎているであろうか。
今からでも遅くない。憲法を知る努力をつづけたい。
みやぎ教育文化研究センター企画の「高校生公開授業『憲法という人類の知恵』」(授業者・樋口陽一先生)が年明けの1月28日にある。一般参観も可ということ。ぜひこの日を、多くの高校生と一緒に憲法を考える一日にしたい。(春)