mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

『花と木沓』、物静かな北国からの風のたより

 画家・小野千世さんの幻の絵日記を書籍化!

 先のdiaryで、東京にお住まいのUさんが「NHKアカデミア」のことを教えてくれたことを書きました。今回は、研究センターで出会ったみなさんから届いた「す・て・き・な・お知らせ」を紹介します。

 一つは、7月9日のdiary「『diary』で広がる人との出会い、世界との出合い」で紹介させていただいた近島哲男さんが、『花と木沓(サボ)』というタイトルの本を自費出版されました。『花と木沓』は、近島さんが印刷の仕事で悩んでいたときに出会った至光社武市八十雄さんから紹介された小野千世さんの絵日記がもとになっています。
 絵本作家の小野千世さんが16歳のときに体調を崩し学校に行けなくなり、修道院で療養した2月~12月までの日々が描かれ、綴られています。

    
    出版社:幻冬舎メディアコンサルティング (1,430円) 

 本を手にしてすぐ感じたのは、印刷の仕事をされていた近島さんならではの本づくりに対するこだわりと誠実さです。ページの地の色や文字の色、文字の組み方や配置、表紙カバーを外すと本体にも素敵な絵と背表紙部分にきれいな飾り、外した表紙カバーをひっくり返すと、そこにも一面の絵。しかも「2011.3.11  Ciyo Ono」と記されています。本全体が一つのコスモス、小宇宙です。
 また魅力的な絵とともに、色が本のなかで生きていることを感じます。小野千世さんの原画のよさあってのことですが、その原画のよさを近島さんがより引き出しているのだと思いました。描かれている絵をみているだけで、充分この本を手元に置くことの幸せを感じます。

 近島さんのことばかり力説してしまいましたが、小野千世さんの原画と文章あっての小宇宙です。修道院での療養生活は単調で不自由なはずです。そんな日々の暮らしのなかにも必ずあるささやかな喜びや気づきを16歳のちよちゃんがユーモアあふれる文章と絵で私たちに静かに語りかけ、今という時代に生きづらさを感じる多くの人たちにそっと寄り添ってくれます。

 最後のページには「春待つこころ」と題して、今の千世さんからの言葉がそっと置かれています。

春は、うそをつかない

どんなに、のろくても、必ず来ます。

春は、裏切りません どんなに遠くても、信じて待ちましょう

でもね あんまり冬が永いと、時々、モウダメカ・・・・・・と

思ってしまいますよね

気をとりなおして、春のサインを探しましょ。

春は意外な所にサインを出してくれるの

サインを見つけるのが上手な人になって、

楽しく辛抱を続ければ、必ずやって来るのが

春です。 

 自費出版の書籍ですが、一般書店やオンライン書店からも注文購入できます。
 ぜひ手に取っていただければと思います。

 もう一つ「す・て・き・な・お知らせ」をする予定でいましたが、ちょっと今は紹介する時間が取れません。それはまたの機会にしたいと思います。(キヨ)