mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さん 高野山から熊野本宮大社へ(その2)

【2日目】 4月8日(金)  (晴れ 22℃)
  熊野古道①「高野山~大股へ 16.8km」


 《2日目の全行程》 

どんなコースプランをとったか
 十津川村野迫川村役場のホームページで調べてみた。小辺路70kmを歩くプランがいくつかあった。2泊3日でも何とかなるかと思ったが、途中山小屋泊まりになるようだ。とすると、装備は完全に山縦走(炊事一式、シュラフ、マット、簡易ツェルト、水、食糧等)となる。あ、むりむり、こんなのしょって歩けるわけない。どちらの役場もおすすめしているのは、3泊4日プラン。1日歩けば、必ず宿泊施設にたどり着く。できるだけ荷物を軽くしたいおいらにとって、これしかないと決定。それでも歩けるかどうか不安は残る。

◇今日やらなければならないこと
 国土地理院発行の地図とコンパスは持ったが、これは道に迷ったときに使うことにし、役場発行の登山マップを使うことにする。そこには、ルート上のきつさや、上りか下りかなどの情報が細かく印されている。ありがたい。さらに、歩行時間とは別に、休憩を入れた所要時間も書いてある。

 問題はこれなのだ。標準的な時間には違いないのだが、どんな体力、脚力の持ち主なのか見当がつかない。明らかにおいらは標準以下だ。間違いない。だから、今日一日せっせと歩いてみて、この登山マップとの誤差を知る必要がある。それをやらないと、次の日歩くコースの、自分用の時間配分がたてられない。4日間を歩くのだから、行程全体の体力消耗を見ておかないといかん。熊が出たときに闘う?だけの余力は常に残しておきたいもんだ。べつに修行をしに来たわけではない。ちょっとは楽しみたい。それができるように、今日は誤差を確かめるのだ。

 
《日程前半 金剛三昧院~水が峰分岐》※図を左クリックすると大きくなります。

 

◇大滝口女人堂跡


ここが小辺路のはじまり。ひんやりした空気だが天気はいい。さあ、ここからだ。

◇薄峠


峠なのに眺望全くなし。

◇丁石に向かう中で

 
なぜこんなところに?
実は左側の斜面に、たくさんの松の木が延々と並んでいる。
「神聖なる高野山の山に入ってきて、マツタケ取るなよ!罰あたりめが!」
というもの。たくさん出るんだろうなあ・・・


気持ちのいい道が続く。

◇あんな所に、家が!

 
分かりづらいだろうが、谷を挟んだ向かいの山腹に家らしきものが見える。
いやいやどうやって生活しているのか。
そんなことを思っていたら、ぎゅうっと下って、ぎゅうっと登り、あそこの家の前にいた。古道、恐るべし。

■ 自撮りに苦しむ

 
ぎゅうっと下ったところに、赤い鉄橋があった。
休憩だ。
スマホのタイマーで写真を撮ろうとしたが、何遍もひっくり返って失敗。
やっと撮れたかと画像を見ていたら、人が来た。走ってきた。
声をかける暇もなく走り去っていった。また来た。今度は女性だ。
頭を下げて挨拶したが、はあはあしながら走り去った。
そうなんだ、トレイルランニングだ。
ちょっと待て、小辺路を走るってか?
信じられない。
元気が出たような、出ないような…
谷川の澄んだ水が、お前もがんばれって言った。


《日程後半 水が峰分岐~大股》※図を左クリックすると大きくなります。

◇水が峰分岐


龍神スカイラインを1.7kmほど歩いた。
所々に、「小辺路を歩く人に注意」という標識があった。
ありがたい。
バイクツーリングも多く、爽快だろうなと羨ましくなる。
ここから、また山道に入る。

■ 山また山

 
「北股・荒神岳が見える」と紹介されているが、どれがどれやら分からん。
でも、青空の下に広がる山々に疲れが引いていく。
残り3分の1だ。

◇平辻のあたり


だいぶ下ってきた。もう少しだろう。

民宿到着!(14:30)

《自転車重てえ~》
 山道から林道に出た。あ~やれやれ本日の歩きは終わりだ。真下に建物が見えたので後10分ほどだ。ところが急傾斜のためか、道がつづれ織りになっていて30分もかかった。汗だくだ。お宿に着くと、ご主人が「この先に温泉あるから自転車で行ってみたら? 送ってく?」動くのも嫌なぐらい疲れていたのだが、かっこつけて「あ、自転車でいいですよ。」と言ってしまった。

 少し休んだ後、颯爽と自転車をこぎ出すと、あれ? 全然進まねえよ、切り替えはどこだ。ない。昔々のママチャリだった。足がつった。温泉に向かう傾斜はさほどでもないのに、途中から押していった。疲れが倍増した。でも、渓流沿いにある野迫川温泉はありがたや、ありがたやだった。

《大女将のもてなし》
 一人で夕食を取っていると、見かねたのか奥の方から80歳になるという大女将が現れて、向かいに座った。「ずいぶん遠くから来たねえ」から始まって、東日本大震災を気の毒がり、ロシア侵攻に憤り、1時間もつきあってくれた。中でも、ここでずっと暮らしてきた話が興味深かった。聞いていると、いかに自分が余計なものを身に着けて生きているか思い知らされた感じだった。誰とも会わずに黙々と歩いてきたので、このおしゃべりが最高のもてなしだった。あ、目の前の渓流で養殖している “ あまご ” こっちではヤマメ、絶品だった。

《さて、明日の計画だ》
 今日のコースは高低差の少ない一番楽な道だった。だから標準時間でたどり着くことができた。それで、余裕があったかというと、そんなことはない。暑さも手伝って、下りの2時間はとても長く感じた。
 最後まで歩けるかどうかは、明日の峠越えをしてみないと分からん。足のケアをして、さっさと寝るに限る。