mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

正さんのお遍路紀行(四国・高知編)その4

【4日目】10月10日(火)28℃  ~ 浦戸湾から五台山を歩く ~

宿(長浜)8:00 ⇒(1.5km)梶ヶ浦渡船場 8:25 船 ⇒ 種崎渡船場 8:35 ⇒(8.0km)32 禅師峰寺 10:00 ⇒(8.0km)牧野富太郎植物園通過 ⇒ 31 竹林寺 12:40 ⇒(5.2km)はりまや橋 15:00 ⇒ 長浜バス停・宿(長浜)17:30 

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                                                      渡船から浦戸大橋

  車を宿に置いていざ出発。無料の渡船があるというので、使わない手はない。左側が高知港のある裏戸湾。橋の右側が坂本龍馬像のある桂浜。正面奥は太平洋だ。この船は、東京湾にたとえれば、神奈川の久里浜と千葉の金谷を結ぶ海上最短ルートということになる。乗り込んできたのは地元のおばちゃんと自転車ごと積んだ高校生1人。生活の足として未だに残っているのがいいなあと思った。船内の写真を撮りたかったが、気が引けて海だけにした。

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     あの山の上かあ!禅師峰寺

 すでに十分汗かいてるのに、あの山のてっぺんまで行くのだ。何でこうも高いとこばっかりに建てるんだろうかなあ。ん~そうか。楽なところばかりでは修行になんねえか。ありがたく受け入れるしかないなあ。

f:id:mkbkc:20200907174726p:plain               眺めは最高!

 眼下に広がる土佐湾。右奥に桂浜。この眺めを見せてもらったら、山の上に建立したことを納得する気分になった。そうして、禅師峰寺の名に「峰」という字が入っていることも理解した。

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        31竹林寺              山門から境内へ

 五台山の麓にある小学校の裏手から登ってきたが、子どもたちの声がキンキン響き学校全体が生き生きしていた。どこか羨ましいと思ってしまった。ぐんぐん登っていくと大きな建物や公園らしきものが表れてきた。看板を見ると「高知県立牧野植物園」だった。おお!かの有名な牧野富太郎だ。見たいなあと思いながら、遍路道を進んでいくと、何と公園入り口の料金所に着いてしまった。えっ?どういうこと?お金払ってここを通過しろってこと? やむなく「お遍路なんですけど、お金払うんですか?」と聞いてみた。すると、「あ、どうぞ進んでけっこうですよ」とフリーで通してもらえた。そういうわけで、屋外の植物園を眺めながら歩くことができた。たくさんのお客さんの中を歩いていても、全く違和感を感じないところもよかったな。

《にせ遍路、金をもらう》
 竹林寺のある五台山に向かう途中のこと。民家の前にたたずむご老人に呼び止められた。「これをどうぞ」と1000円札を差し出された。とっさに「あ、いや、お金は受け取れません」と声が出た。お接待は何度かいただいてきたが、お金はいくら何でもだめでしょうと思ったからだ。でも、おじいさんは「本当は自分でお参りしたいんだが、足が悪くなってもう行けないんだわ。だから、私の代わりにお参りしてもらえれば、それでいいんです。」と続けた。ん~。そこで、はたと思いついた。「分かりました。この1000円はお預かりします。これから竹林寺に行きますから、そこのお賽銭箱に入れますね。」と言って受け取った。「よろしくお願いします。」と頭を下げられた。いやいやいや、おいらは “ にせ遍路 ” の身、決して生き仏でも何でもない、ただのおんちゃんなのです。白い装束で歩いていると,ありがたく見えんのかなあ。その1000円は間違いなくお賽銭として投入いたしました。

 この出来事を宿の女将さんに話したら、「お金もお接待としてあげるんですよ。それをどう使ってもいい物なんです。お返しに、自分のおふだを手渡すのが習わしですよ。」と教えてくれた。そばにいた、今日お泊まりのお遍路さんは「俺なんか、もらったお金で飲み物買ったり、食事代に使ったりしてるよ。気にしないで使っていいんだよ。」と言った。なあんだ、そうだったのか。でも、おいらとしては、もらった金は使えないなと思った。ちゃんと仏様に渡さないと罰が当たると思う。

はりまや橋、ちっちゃ!》
 本日の終着点をここに決めて歩いてきた。ずいぶん昔、バイクで旅した際、立ち寄った「はりまや橋」が思った以上に小さくて、写真をとろうかどうか迷うほどだった。だから、小さいということは分かっていたつもりだった。確か町中なので、見た後は珈琲屋にでも入って休憩しようと思った。案内に従って歩いて行くとすぐに発見。あれれ?記憶にある小さかった「はりまや橋」より、もっと小さくぺったんこになっていた。何の風情もない。がっかり。

《日本語上手な外人さん》
 おいらは今日も連泊。夕食時に集まってきた中に外人さんがいた。結構なお年のように見える。「どこからですか?」とまずは日本語で聞いてみた。すると「ワタシハ、キュウシュウカラキマシタ。アメリカジンデス。」とのこと。「日本語上手ですねえ。」と思ったままに言うと、いろんなことを教えてくれた。どうも大学の教授のようであった。仏教に興味を持ったので、実際に歩いて巡ってみようとしているようだった。会話の中で一番受けたのが、「トランプが皆様に大変ご迷惑をおかけしております。アメリカを代表してお詫びいたします。」というくだりだった。みんなで大笑いした。それなりの地位があるにもかかわらず、お遍路宿に泊まり、日本のおんちゃんたちと一緒にバカ話に興じる彼を見て、ふところの広い謙虚な人間なんだなあと好ましく思った。