mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

台風19号の被害を受けた丸森へ(その5)

12月16日(月)復旧の手伝いへ ⑦

 初めての普通日。参加者が少ないことは分かっていたが、ほんとにまばらだった。だからすぐに要請が来ているお宅の説明があった。今回は軽トラ2台と7名での作業。大張・耕野地区は行ったことがないので、迷いながら到着。

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 少し説明すると、阿武隈川に沿って丸森から福島に行くうねうねした細い道(R349)は、結構便利なルートとしてよく使われている。でも、何年かに一度は大雨によって阿武隈川が氾濫し、道路が2mほども冠水する地区でもある。だから、この道路沿いにある住宅は、それを避けるために高い位置に建ててある。ところが、依頼されたお宅に向かう途中見た光景に驚いた。災害を避けるために道路の上の方に暮らしている家の1階部分が流されていたり、小川の中に家がひっくり返っていたりしていた。
 今回依頼されたお宅は、ずっと高いところにあるので洪水は免れたものの、裏山から家の中に土砂が流れ込み部屋を壊していた。主な仕事は泥をかき出すこと、泥に埋まった畳や家の周りの被災物を搬出することだった。

 このお宅の目の前には小川があり、土石流の通路となっていた。上のお宅へ続く道は崩落していた。
 直撃されたら、裏と表両方からの危険に逃げ場はなかったろうと話してくれた。この下に続く棚田は、岩と泥に埋もれていた。これからの生活をどうするのか、言葉にならなかった。

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 陽当たりのよいところでお昼の休憩だ。食べながら一緒になった方々と話したいと思った。普通日に参加できるのは、おいらのような年金老人。顔ぶれは確かにそんな感じ。でも40代?とおぼしき人もいたので「どこから来たの?」と聞いてみた。すると、Iさん曰く「福岡から長野の被災地で活動し、南相馬に移動し、今日は丸森に入りました」とのこと。一同驚く。仕事を持たずにボランテイアを続けるのはただ者ではないと思い、「海外は?」と聞くと「カンボジアで5年間、医療や教育の支援をするために活動してきました」と言う。一同また驚く。わたしは、やっぱりな、と思った。本日の7名は全くの見ず知らず。彼の仕事ぶりはがんばりすぎないマイペース、おまけに誰とでも打ち解けた言葉がけ。自然体の様子にかなり慣れていると感じたからだった。日本に、まだこんな人がいるんだとうれしくなった。その後みんなでカンボジアの話に耳を傾けた。
 年配の方が「もうすぐ陽が陰るぞ」と言ったので、まさか、まだ昼だよと思いながらお日様を見ると、迫った山のせいで後10センチほどで陰りそうだった。まさに「半日村」だ!1時を待たずにみんな動き出した。

 自分で言うのも何なんだが、友人のS氏との軽トラ搬出作業はかなりの腕前になった。現場に着いたら、ざっと搬出物に目を通し、その量と種類、缶や瓶などの散乱具合なども考慮に入れて、午後3時までに終わらせる段取りをする。今回の集積場は大張・耕野地区の中にあり、丸森町の分別配置とは違っているので1回目の搬入で配置を記憶。さらに片道15分の移動の時間も入れると、自ずと作業スピードがはじき出される。二人で自画自賛した。

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 さて、今回思ったことは、「なぜここに住むのか」ということ。これまで行ったお宅は、川のすぐそばだったり、急傾斜の土地だったり、崩れてもおかしくない後背地をしょっていたり、第3者から見れば危険と隣り合わせの場所ばかり。そこしかないという言い方もできるが、依頼人の話を聞きながら「それでも、ここでの暮らしが一番いい」と思っていることが伝わってくる。当然と言えば当然なことだ。その土地で暮らしてきた人にしか分からない深い愛着があるのだ。もちろん災害など望んでいるわけではないが、そういうものも含んだ自分の土地での暮らしを大事にしているのだ。寒くてもういいかと思っていたが、もう少しがんばろう。

《ボランティアセンターで聞いたこと》
 依頼される仕事の内容が少しずつ変化してきているとのこと。どういうことか尋ねたら、泥のかき出しから技術を要する内容に移っているとのこと。本来なら早い段階で床板をはがして泥を掻き出さなければならないのだが、これからというお宅もあり、再び床板を使うためにはきれいにはがすことが求められるという。もし、フローリングだったら、素人にはどうしようもない。お金をかけずに自分で修理するかたもいるだろう。そういう時に、壁塗りの技術があったり、ゆがんだ建物を矯正する技能を持っている人が応援に来てくれたらということなのだろうと理解した。ということは、おいらのようなただのご老人は、来てもらっても役に立たないということかなと思った。
 1月になったら、そのへんの情報を集めて、考えようと思う。