mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

「明日の授業」に参加して、充実した2日間!

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   オープニングのぶち合わせ太鼓、ベテランも若手も一緒にドンドンドドーン!

 7月27日、28日の2日間にわたって教職員組合主催の「明日の授業ための教育講座」に参加してきました。ここしばらく参加していなかったので浦島太郎状態になってしまうかなあと思いましたが、同年代の先生方も含め若い先生たちもたくさん参加していて活気に満ちた楽しい学習会でした。

 今回の企画で楽しみにしていた一つは、何といっても阿部勉監督の記念講演『映画「学校」から学校現場へのメッセージ』です。前にDiaryに書いたように阿部監督は山田洋次監督の『男はつらいよ』の助監督を務め、監督としては『しあわせ家族計画』を制作されています。『しあわせ家族計画』の仙台上映では、出身高校のOBの方々を中心に、映画好きの人たちも集まって応援した楽しい思い出があります。

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     会場いっぱいの参加者で聞いた阿部勉監督の記念講演

 講演では、映画「学校」「学校Ⅱ」をつくった時のエピソードを交えながら、映画の中で何をどう描こうとしてきたのか。そしてこの映画を観た人たちは映画をどう受け止めてくれたのかなどについて語ってくれました。
 第一作の映画『学校』をみた人たちからは、当時いろんな反響が寄せられたそうです。目についたものとして(田中邦衛さんが演じた伊野さんの生い立ちについて)「そんなつくったような不幸を」とか、「今どき字が読めなくて正社員になれないなんていう男がいるわけないだろ」とか、「都合よく母親を死なせるなんて話をつくりすぎだ」というような批判があったそうです。また若い人たちからは「よくわからない」というような感想も寄せられたとのこと。山田監督などとは「想像力の欠如」というと大袈裟だけど、自分の狭い範囲での経験とか価値観でしか映画を観れない、あるいは判断できないということがあるのではないかという話をしたそうです。

 その話を聴きながら、最近気になっていたテレビドラマのことを思い出しました。それは登場人物の心のなかで考えていることや思っていることを「声」や字幕にして視聴者に伝えるものが多々見られることです。
 本来、テレビドラマや映画を見るということは、その画面に映し出される映像から、その映像が描くものを受け取め、(ストーリーや人物像などを)読み解いていくことに楽しさがあるのだろうと思うのです。そして、そこに見る側の「想像力」が大いに関わっているのだと思います。しかし登場人物の心の「声」を言葉にして視聴者に知らせたり字幕にしてみたりする演出は、このようにこの場面、あるいはこの登場人物を理解してくれ、見てくれということを、制作者側が一方的に伝え、強制している事態ともとれます。このような今日的な状況は、「想像力の欠如」をさらに促進することに結び付いているかもしれないと思ったりしました。
 この日の阿部監督の話は、主に「学校Ⅱ」の作品世界に即しながら行われ、公開時にみた映像が改めてありありと思い浮かび、もう一度見てみたいなあと強く思いました。

 講座は、国語の物語教材の授業づくりに参加しました。講師は、川崎市で小学校教師をされているという藤田伸一さん。扱った教材は6年生の「海のいのち」で、模擬授業形式で行われました。6年生の子どもに戻った気分で楽しい時間を過ごしました。
 講座に参加して、やっぱり子どもたちと物語作品をどう出会わせるか、そして作品世界に子どもたちをどう誘うのか、そこが大事なんだなあと思いました。授業展開は、東大名誉教授になってしまった小森陽一さんが、高校生の公開授業で行ってきた方法とも共通するものがあると感じました。
 と同時に、子どもたちに深い読みの力を育てるためには、当然のことながら教師自身がその教材作品について深い読みができていなければならないとも思いました。(キヨ)

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  お隣さんやみんなと意見・感想を交わしながら大いに学んだ国語の講座