mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

市民参加の教育行政へ、いじめシンポジウム開催のお知らせ

 10月9日のDiaryで、仙台市教育委員会に常設されている第三者機関「仙台市いじめ問題専門委員会」傍聴記を書きました。

 一方で仙台市(県も)は、今いじめ防止条例の制定に向けて動き出しています。7月には「(仮称)仙台市いじめの防止等に関する条例 骨子案」を発表し、8月末まで市民からのパブリックコメントパブコメ)を募集していました。みなさん、パブコメ書きました?

 (これまでの傍聴の経験から言うと)教育委員会の会議では、寄せられたパブコメは、教育委員会事務局のみなさんが内容項目ごとに整理して会議に提出します。また、それらについて事務局側のコメントが書かれたりすることもあります。しかし、そのパブコメをもとに議論伯仲になるかというと、そういうことはほとんどありません。その後は事務局の既定路線で粛々と、若干の修正はあっても進むのがほとんどです。《市民の声を聴きました》《政策策定過程に市民参与の機会をちゃんと作りました》という、行政の市民参加のアリバイづくりに使われているというのが大方のように感じます。せっかく時間を割いて書いたパブコメもこれでは用をなしていない、勿体ないなあと・・・。市民参加の市政を言うなら、本当はこれからが肝心ではないかと思うのです。

 というのも、パブコメはあくまでも《私は、こう思います、考えます》という、個人の意見表明にすぎないからです。大切なのは、そうやって寄せられた様々な異なる意見をもとに自分の意見を相対化し、また他の人たちの意見に耳を傾けることではないでしょうか。そのことの中で課題や問題を共有したり事の本質を理解したり、市民一人ひとりが主体的に市政に参加する意識や姿勢を醸成していくことが必要に思うのです。そういう場が必要だと思うのです。そして、そのような取り組みは、パブコメが実施されるようになる以前には活発に行われていました。ある意味、パブコメ実施が、皮肉にも市民参加の市政と姿勢を後退させたといえるように思います。

 今でも鮮明に覚えているのは、県立高校の将来構想策定のときに、県庁2F講堂で大々的に行われた意見聴取会です。この時は男女共学化が大きな議論を呼んでいました。県内の男女別学を共学にするという案が出され、別学の生徒やOB・OGも交えて賛否両論多くの意見がなされました。共学化のやり取りの中では会場からヤジなども飛んだりしました。感心したのはこの意見聴取会に参加していた高校生たちです。そんな大人たちのやり取りに「自分の意見と違うからといってヤジを飛ばすのはやめましょう」と諫めたり、「僕は別学がいいと思ってこの会場に来ましたが、いろいろ話を聴いているうちによくわからなくなりました。別学がいいのかもう少し考えてみたいと思います」など、高校生たちはまじめでとても柔軟だなあと思ったものでした。当事者である高校生をはじめ多くの市民が、高校という場をどのような学びの場にしていったらよいのかを考える貴重な機会になっていたと思います。

 因みにこのような公聴会は、県では県立高校の学区のあり方や入試制度改革の検討のとき、あるいは現在は地域の県立高校の再編構想(統廃合)で、以前のように誰でも意見を言えるというわけではないようですが地域の意見を聴く場を設けているようです。他方、仙台市の方は、そのような公聴会開催についてとても消極的なようです。ここしばらく、そういう場は持たれていないように思います。そういう場をもっと積極的につくり、意見の言いっぱなしではない市民参加の教育行政を実現してほしいと思っています。

 仙台市教育委員会に期待するところ大ですが、そのような場を持ってくれるまで何もしないというわけにはいきません。ということで、当センターの所長も代表を務める「仙台の子どもと教育をともに考える市民の会」などが中心となって、今週末の20日(土)に、いじめについてのシンポジウムを開催します。私たち市民・保護者、教職員の立場から、今の学校の現状と課題、そしていじめの問題を考え合いたいと思います。ぜひご参加ください。お待ちしています。(キヨ)

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