mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

「安倍一強」政治、招いた責任は私たちにも

 政治の世界では、私たちには通常考えられないようなことが次々と起こっている。日本は「先進国」(何を基準にして言っているのかはわからないが)と言われる国なのだろうと言っている(言われている?)が、とてもとても・・・、恥ずかしい限りだ。
 もともとそうだったのか、それとも急激に劣化したのかもわからない。政治家(屋)のやっている・言っていることも呆れることも多いし、今騒いでいる財務省文科省の官僚の問題もあまりにひどい。政治家や官僚に矜持というものがあるのだろうか。
 森友問題が解明されていけば、財務省のもつ問題ももっと掘り出されるのだろうが、どう進むのだろうか。文科省の前川前次官の授業に関する市教委への調査も呆れてしまう。今回は、対応した市教委や校長が言いなりにならなかったことにホッとしたが、調査や録音テープの提出をさせるよう働きかけた議員に似た方々が国会内をうろうろしていることを思い描くとゾッとしてしまう。

 「同時代を見る眼」(1998年刊)は、岩波の元社長・安江良介さんが病に倒れるまでの6年間、「信濃毎日新聞」に書いたコラムを集めた本である。
 その91年10月12日のタイトルは「政治改革の根本的再検討を」であり、その一部に次のようなことが書かれている。

 ~宇野・海部両政権がその極度の脆弱さにもかかわらず、多年の懸案に取り組まざるをえなかったのは、当然のことであった。
  だが、「政治改革」は「小選挙区制導入」に転じた。宇野内閣のもとに発足した第8次選挙制度審議会は「小選挙区比例代表並立制」を答申し、海部内閣はこれにもとづいて政治改革関連3法案を国会に上程した。しかし、この小選挙区制によれば4割の得票で8割前後の議席を1党が占有することになる。「政治腐敗の解消」が、なぜ、こうした乱暴な選挙区制に転ずべきなのか。~

 読んで私は驚いた。初の小選挙区比例代表並立制による選挙は96年10月20日だった。安江によれば、制度が提案されたのはその5年前であり、それが実施されれば、「4割の得票で8割前後の議席を1党が占有する」ということが試算できていたのだ。私はそんな議論や数値を知らずに1票を投じてきた。

 自民党内の内情は知らないが、「安倍一強」とよく言うが、そうなることをわかって今の選挙制度を許してきた自分たちにも大いに責任があるということにもなりそうだ。政治家・官僚の非を言いながら、私(たち)も、知らないがゆえに政治・行政のいいかげんさに加担しているかもしれない。己の在り方をいつも見つめていかなければ世の中はよくならないのだとつくづく思う。( 春 )