mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

高校での黒髪強要から教育を考える

 Diaryに載せよう載せようと思いながら、こんなに遅くなってしまいました。

 昨年11月ごろに大阪府立高校3年の女子生徒が茶髪の自毛を黒髪にするよう学校から強要(指導)されたことが原因で不登校になったと府を提訴、との新聞報道がありました。みなさん覚えておられますか? このことにかかわって高橋幸子さん(元教師)の投稿が、河北新報「持論時論」(12月14日付け)に掲載されました。

 昨年末27日の第4回いじめ問題再調査委員会のなかでも、ある委員から《教師が子どもを苦しめていることもあるし、学校が子どもをいじめる、そういう場になっていることだってあるのではないか》という発言がありました。その念頭に、この大阪の一件があることはすぐわかりました。

 いじめをなくすにはどうしたらいいのか? 多くの人が心を痛めていますが、単なるいじめ対策ではなく、学校や教育全体のあり方から考えていく必要があるのではないでしょうか。以下、高橋幸子さんの持論時論を掲載します。 

 高校での黒髪強要 子の成長に包容力大事

 「いろいろな色が並んでますね。この12本のクレヨンのうち、好きな色は何色ですか?」「僕は青色が好きです」「私はピンクが好きです」。子どもたちの好きな色はさまざまです。

 「そうですね。どの色もすてきな色ですね。このほかにも、24色とか36色とかたくさんあるんですよ。この色を使ってすてきな絵を描いていきましょうね」

 私が小学校の教師をしていた時、図工の時間での子どもたちとの会話です。どの色も素晴らしく、駄目な色、おかしい色なんてありません。そう教えてきました。

  ◇    ◆    ◇ 

 一方、私の長女と次女が中学校と高校に入学した時、いずれも入学式後に生徒指導の先生から、次のような趣旨の話がありました。

 「服装や髪形の乱れは生活の乱れの始まりと、よく言われます。制服を勝手に作り直して短くしたり、長くしたりしてはいけません。髪の毛も茶髪はいけません。この校則が気に入らなければ、入学を辞退しても結構です」

 そこで私は質問しました。

 「茶髪や制服の長さなど、見た目で決めるのはいかがなものでしょう。私の娘2人は生まれつき髪の色が茶色です。だからといって、生活や言動が乱れているわけではありません。私が若い頃は、男性が赤やピンクの服を着たら変に思われる時代でした。見慣れないからです。今はおじいちゃんまで赤もピンクも自由に着ており、変だと思う人もいません。茶髪も、今は当たり前です。髪の色や制服の長さではなく、常習的な遅刻や勉強の怠け、礼儀に反する言葉遣いなどを厳しく指導していただきたいと思います。私も髪を淡い薄紫にしていますが、『すてきな色ですね』と言われることがあります。黒髪の私、茶髪の私、淡い薄紫の髪の私の中身は何一つ変わりません。いかがでしょうか」

 先生は私の言い分も認めながらも、「制服の長さや茶髪禁止は校則ですので。それに、そういうことをしたがる子どもは・・・」と、決め付けるような返答でした。

 私の娘たちは中学の時、茶髪を注意されたことがあります。私は「自毛であると分かっていただきたいので、小さい頃の写真をお見せしましょうか?」と先生に伝えました。その後は注意されなくなったと、娘は話していました。茶髪のお子さんを見て「何てすてきな色でしょう」と先生方は感じることができないのでしょうか。

 もちろん、けばけばしい色もあると思います。でも、そのお子さんが「これがいい」と思っているのなら、認めてあげるべきかと思います。ただし、言動に問題があったり、遅刻したり退学したりしたら、髪の色や制服には関係なく厳しく注意すべきです。

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 大阪府の高校での黒髪強要が反響を呼んでいます。穴だらけのズボンが商品になる今の世の中。あるがまま認めるのは、教師にとって、いや大人として難しいことですが、子どもがお互いを認め合い、支えながら成長することを促すために、そうした理解と包容力も大事だと思います。