mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

第3回 仙台市いじめ対策等検証専門家会議を傍聴して

 年末、いじめに関する仙台市の2つの委員会を傍聴しました。一つは、仙台市のさまざまないじめ対策が十分かを検証する「仙台市いじめ対策等検証専門家会議」(12月21日開催)、もう一つは泉区の南中山中で起きたいじめ自死の再調査を行う「いじめ問題再調査委員会」(12月27日開催)です。

 どちらの委員会とも順調に進展しているとは言いがたい状況でした。河北新報は、それぞれの会議について記事を書いていますが、見出しは「いじめ防止 来月1次提言 仙台市・専門家会議 議論深まらず」(12月22日付)、「調査手法また決まらず 南中山中自殺 再調査委 公開で会合」(12月28日付)といった具合です。低調な議論にマスコミもイライラしていることが伝わってきます。以下、記事を引用しながらの感想です。 

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仙台市いじめ対策等検証専門家会議】

 記事は、「同日の会議では学校運営に住民らが参画するコミュニティースクールの在り方に時間が費やされ、市内の中学生3人のいじめ自殺を基にした突っ込んだ議論に至らなかった。」と報じています。専門家会議の事務局からは、いじめ対策として学校と地域や保護者との連携が大切との立場から、主に学校支援地域本部の取り組みについて説明がありました。ところが、どういうわけか河北の記事が伝えるように、話し合いはコミュニティ・スクール中心に進んでいきました。

 いじめ対策として保護者や地域との連携が必要という一般論はわかりますが、学校運営の在り方全体の改変にも関わるようなコミュニティ・スクールの話が、なぜ唐突にこの会議で出てこなければならないのか? たいへん違和感を感じました。もし地域や保護者との連携が必要というなら、まずは既存の学校支援地域本部やPTAの在り方について、その現状と課題が話し合われるのが自然ではないでしょうか。また、ちなみにこれまで仙台市教委は、コミュニティ・スクールについてはどちらかというと消極的で、学校支援地域本部の取り組みを仙台カラーとして積極的に進めてきていました。そのような経緯も考えると、今回のコミュニティ・スクール導入の議論は、いささかいじめにかこつけて導入を促進したいとする(外部からの)作為性さえ勘ぐりたくなります。

 会議後半では、「仙台市は欠けているものはないぐらい対策をやっている。現在の施策を精査すべきで、絞り込みの発想が大切。(この点を)この会合のスタートとして確認したい」との発言もありました。だとするなら、屋上屋を重ね、制度いじりになりかねない新たなコミュニティ・スクールの導入などを軽々に口にするのではなく、これまでの対策について丁寧な議論をすべきなのではないかと感じました。

 また上記の委員の発言を会議の認識とするなら、十分な(すぎる)施策がなぜ有効に機能しないのか。理想論や一般論としてでなく、学校現場や教師の現状や実態をきちんと聞き、踏まえながらその対応を考えることがあってもよいのではないでしょうか。しかし残念なことに、この会議は仙台の学校現場について語れるメンバー構成とはなっておりません。専門的立場からものを言うことは大切だと思いますが、実態をきちんと踏まえないで大丈夫かと心配です。

 次回、1月12日開催予定の第4回会議では第1次提言の話し合いが行われるとのことですが、このような議論で提言がまとめられるとなると、たぶん事務局が主導作成した内容が出されるのでしょう。残念ながら、あまり期待はできそうにありませんが、頭からあきらめたり決めつけてはいけません。真剣な議論が展開されることを期待したいと思います。少々辛口の感想だったでしょうか。委員のみなさんの奮起を願っての感想です。

 自分の目と耳でじかに傍聴し、考えることはとても大切ですね。機会があったら、ぜひ皆さんも傍聴してみてください。

 ※ なお12月27日開催された「いじめ問題再調査委員会」の傍聴については、
  そのうち書きたいと思います。(キヨ)