mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

杜の都からビルの都へ?

 今年の立冬は、11月7日。暦のうえではもう冬、でも年々暖かくなっていると感じるのは私だけだろうか。季節は時を刻みながら、行儀よく移り変わっていくようにみえるが、その実態は年々変わっているのだろう。

 変わると言えば、仙台の街の風景や光景も、ずいぶん変わってきている。ぱっと思いつくのは、商業ビルやマンションがどんどん建っているということ。ちょっとした空き地が見つかれば、しばらくすると、そこはビルやマンションの建設予定地になっている。かくいう仕事場の前の駐車場も、もうすぐ20数階建てのマンション建設が始まる模様だ。そうなれば、職場の窓の正面にどんと見えるのは、そのマンションの壁と個々の家庭の窓ということになるのだろう。のぞく気はないが目を向ければ、そうならざるを得ない。
 さらにそのマンションの建つ駐車場には、すでに隣接したマンションが囲むように建っている。それらのマンション住人も同様となる。隣接しているだけに、昼間なのにまったく日が入らないという部屋や目の前は壁一面というところも出てこよう。住んでいる住民にとっては、たまったものではない。しかし建築基準をクリアーしていれば、建てることは合法なわけで、まったくお構いなしということになる。

 直近で変わりつつあるのは堤雨宮の東北大農学部跡地。跡地と言わなければならないのは、なんとも残念だ。農学部は、大きな木々もあり仙台中心部における数少ない緑豊かな場所で、ひつじや山羊などもいる何ともほっとできる憩いのオアシスだった。昼休みには学生たちがバレーボールやソフトボールを興じている姿や、近くの保育園か幼稚園の子どもたちなのだろう? 先生と一緒に農学部のなかを楽しそうに散歩しているのを見たことがある。農学部には周辺の喧噪とは違う、のんびりとした空気が流れていて穏やかな気持ちになったりしたものだ。またキャンパス正門の守衛所は歴史的価値のある貴重なものであることなども、この間の新聞などで報じられたが、今後の扱いの行方はどう決まったのだろうか?
 その農学部敷地も今や見るも無惨というか、建物はすべて解体され瓦礫が集められ、更地へと変わりつつある。この後は敷地を落札したイオンモールが、イオン化傾向ならぬイオン化計画で商業施設と病院、住宅などを建て、農学部の面影などまったく感じさせない化学変化を起こすことになるのだろうか?

 商業ビルやマンション建設、農学部跡地のイオンへの売却、それらから見えてくるのは、狭い国土の有効利用という名の経済効率第一主義。いつの間にやら仙台は、杜の都ではなくビルの都になった感がしないでもない。定禅寺通りケヤキも、12月にはライトアップされ、クリスマス商戦に花を添える一役を担うのだろうが、どうも周りのビルに囲まれ窮屈な生活を強いられているように思えてならない。農学部跡地も、たとえば若い人たちも大いに利用できる文化施設やスポーツ施設、福祉施設など、そういう意味での有効利用はできなかったものなのだろうか。仙台の市民が憩い、老若男女の集うことのできる場所、そんな場所が仙台の中心にあったらどんなに素敵だろう。地域経済の活性化も政治の大事な一つではあるだろうが、もっと市井の人々の暮らしや文化のありように目を向けてくれないものだろうかと・・・、更地へと変貌する農学部跡地を眺めながら思っている。( キヨ )

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