mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

まずは学校での解決を(河北新報『持論時論』)

 少し前に春さんの持論時論をdiaryに掲載しましたが、今度は、講演会や学習会などに参加くださっていた高橋幸子さんの投稿(河北・朝刊6月21日付)が取り上げられました。紹介いたします。

  仙台のいじめ自殺 まずは学校での解決を

 仙台市内で続いた3件の中学生自殺問題で、奥山恵美子市長が市長部局に第三者調査機関を新設するという本紙記事(5月25日朝刊)を読みました。市長主導・・・それだけでいいのでしょうか? 新聞を読む限りでは、担任の先生といじめに遭った生徒さんの関係がどうだったのか、互いに信じ合えていたのかと、疑問を持ちました。
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 私が教師をしていた時は、担任するクラスの子どもはわが子のように世界一かわいい子、失敗するのは私が至らないせいと考え、私の至らない原因は何かしらと考えました。そのような考え方ができるようになったのは、悩みや問題を感じた時、職場の同僚に即打ち明け、先輩の助言をいただいたり、労働組合で学習会を積み重ねたりした結果だと思います。

 若い頃、漢字練習の宿題に丸付けをしていた時、読みづらい字で毎回2,3ページ書いてくるノートを見て「何でこんな字で2ページも3ページも書くのかしら。1ページを丁寧に書いた方が・・・」とぶつぶつ言っていたら、隣のベテランの先輩が「いやあ、こんなに頑張って書いてきてるんだから、その努力に花丸を付けてあげさいん」と言います。

 「この字に花丸なんてあげられません」「いいから花丸あげてみさいん」。渋々花丸を付けて翌日渡しました。そうしたらその子は「やったあ、先生から花丸もらったあ」と、みんなにその花丸のノートを見せて歩いたのでした。喜びいっぱいの姿を今でもはっきり覚えています。その子はどんどん字が上手になり、書き初めの代表候補に上がるほどに変身しました。

 それ以来、頑張ったことを見つけては、きちんと認め褒めるという姿勢が、少しずつ身に付きました。失敗は温かく許し、いいことをしたらノートや連絡帳に花丸を付けて、保護者にも子どもの努力が伝わるように工夫しました。

 子どもを一度たたいたことがありました。その時は「おうちの方に、私にたたかれたことを話して。私もお母さんに、たたいてしまったと電話を入れますから」と言いました。すると子どもは「僕が悪いからいいです」。「どこが悪いと思うんですか」と、子どもと話し合いました。

 同僚にも校長先生にも伝えました。校長先生は「保護者から連絡があったら、俺も責任取るから」と、一緒に考えてくれました。

 学級で問題が起きたら、担任と子どもと保護者、さらには職場の同僚や校長先生とすぐに取り組んで、学校で解決することが大事です。だから、いじめ問題を行政トップの市長主導で、というのはいかがなものかと思います。
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 同じ日に、連載「みやぎ考 17宮城知事選」④「広がる学力格差、遅れる子どもへの支援-教育環境不均衡続く」という記事も載っていました。先生方が余裕を持って丁寧に指導でき、子どもたちは安心して学べる環境づくりに、県、市ともに今すぐお金を十分出してほしいです。「子どもは宝」という言葉が本物になるように。子どものかけがえのない命を守るために。

  投稿を読みながら、幸子先生が地域や保護者の方々と手を繋ぎ協力し合いながら、さまざまな授業づくりをされていたことを思い出しました。

 続いている中学生の自死に心を痛めながら、その解決のために何が必要なのか、できるのか。一人ひとりの思いや取り組みを出し合い、話し合うことが、まずは大切なのではないでしょうか。そのようなことのできる職場や学校であることが必要です。
 教育行政は、そのために何ができるのか。その条件整備に是非とも力を入れてほしいと思います。( キヨ )