mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

春さんの投稿、またまた「持論時論」(河北新報)に載る

 昨年は、「真の子どもの幸せ 尊重する心も育成必要」とのタイトルで、春さんの投稿が「持論時論」に掲載されました。今回は、6月2日付けで「学習指導要領改定 教師は創意工夫重ねて」と題し掲載されました。

 春さんはシャイなので、6月2日以降も何度か顔を合わせているのに、そのことをまったく言わないのです。だから気づきませんでした。知り合いの方から春さんの投稿が載ったよと教えてもらったのです。すでにお読みの方もおられると思いますが、ここに改めて掲載します。ぜひお読み下さい。

 学習指導要領改定 教師は創意工夫重ねて

  小中学校の学習指導要領が改定され、小学校は2020年度から、中学校は21年度全面実施される。学校教育はよくなるだろうか。私にはそうは思えない。
 学習指導要領は国によって作られ、学校教育を事実上縛っているものだが、現場はそれほど危機感を持っていないかもしれない。教科書は学習指導要領に沿ってつくられ、多くの教師はその教科書に忠実であることが仕事だと思っているだろうから。
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 教師は熱心であればあるほど、決められたこと、限られた狭い世界や価値観の中に子どもを囲い込むことに懸命になり、それが成功すると仕事がうまくいったと思いがちである。私もそうだった。目の前の子ども一人一人は同じではないということをすっかり意識の外に置いてしまい、熱心な教科書教え屋になり、その指導書通りに進めたのだから間違いないと思ってしまう。それを私は危惧する。
 教師は常に、教科書の指導方法に加え、もっと適切な教材、指導法はないかと絶えず問い続けなければならない。それにブレーキをかけているのが学習指導要領だ。学習指導要領はほぼ10年に1度改定される。そんなに頻繁に変えられることがそもそも問題だ。
 1947年、戦後初めて「学習指導要領一般編(試案)」が出された。
 それには「これまでの教育では、内容を中央で決めると、それをどんなところでも、どんな児童にも一様に当てはめていこうとした」「教育の現場で指導に当たる教師の立場を、機械的なものしてしまって、自分の創意や工夫の力を失わせ、ために教育に生き生きした動きを少なくするようなことになり・・・」と書かれていた。
 実践参考例も挙げられてはいるが、文部省(当時)は参考例を超える実践を学校と教師に期待した。だから学習指導要領は「試案」だった。行政として基本的な願いは示すものの、具体的な実践は学校、教師に託したのだった。
 しかし、現在の学習指導要領は細部まで書き込んで、内容の徹底に力を入れ、教師の創意への期待はどこにも見られない。敏感な教科書会社は、国の意をくんだ教科書を競って作る。教師もまた、それを期待されていると思い込んで、子どもの前に立つ。
 現在の学習指導要領が学校、教師を縛っていることは明白だ。それに全国一斉学力テストが追い打ちをかけている。それが、教師だけでなく子どもたちからも生気を抜きとり、学ぶ意欲までも喪失させている。
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 人として成長するために、それぞれの時期にどんな過ごし方をすればいいのか。それに応えることを期待されているのが学校、教師であり、応えるのが教師の生きがいでもあるはずだ。
 問題の多い今の学習指導要領から、原点に返ることが求められる。そのために、教師は苦しくても、教科書と指導書を超える実践を積み重ねるべきだ。改定学習指導要領下であっても、それは子どもたちのためになる。

 研究センターも、先生たちにエールを送るとともに、授業づくりの力に少しでもなりたいと思っています。今年も昨年に引き続き、まずは夏休みに国語の講座を行う予定でいます。詳細が決まり次第、ホームページ、diaryでお知らせします。