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mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記です。

殿、違憲でござる

「殿、利息でござる」が上映中である。地元宮城の実話とあって結構な入りとなっている。藩の重い年貢に夜逃げが続く宿場を救おうと立ち上がった町民。なけなしの金を集め藩に大金を貸し付け、利息を巻き上げる。それで宿場の人々を救うという壮大な計画である。江戸時代にこんなことがと驚くと同時に、庶民のしたたかな知恵に、笑いと涙がおさまらなかった。

もう一つは江戸時代幕末のこれまた実話。

      1775年から始まったアメリカ独立戦争は人民が王権に対抗した闘いです。勝利したアメリカの指導者たちは、ワシントンに新生アメリカの王様になるよう提案するが、ワシントンは国王になることを拒否し、民主国家を建国。そして任期付きの大統領を設けることにしたが、大統領といえども人間だから間違いも犯す不完全な存在であることが人々の意識に上がった。そこでできたのが世界で最初の成文憲法であるアメリカ合衆国憲法。つまり権力者である生身の人間を管理するという目的が、憲法の起源にあったということ。

これが仙台藩とどういう関係があるか。上述の文に続けて、憲法学者樋口陽一さんは、仙台藩士、玉蟲(たまむし)左太夫を紹介している。

合衆国憲法制定から約1世紀後の1858年、日米修好条約の批准書交換に派遣された使節団の一員である玉蟲はそこで見聞きしたことを「渡米日録」に残した。

そこに記されたのが下記の文である。

「会盟・戦伐・賞罰等ノ事、衆ト会議シテ、其見ル処ノ多キヲ以テ決ス。縦(たと)ヒ大統領ト雖(いえど)モ、必ズ一意ヲ以テ決シテ私ヲ行フヲ得ズ」

「国例ニ至リテハ、衆部ノ行フ処ニシテ、縦令(たとい)大統領ト雖ドモ、庶民ト共二之ヲ守リテ犯ス能ハズ」

樋口さんの文は、外交や戦争の宣言、そして官職の罷免や賞罰までも、大統領の一任ではなく、会議で決めていることに玉蟲は目を向け、「国例」つまり立法が「庶民」だけでなく大統領をも拘束するものだということも見抜いている。「庶民」に対して「気に入らなくとも法で決まっていることだから従え」という江戸時代の日本とは違う法秩序があること、「法の支配」「法治国家」というものを玉蟲は理解していたと結んでいます。

封建制度の中にあって、仙台・伊達藩士の、観察力の鋭さに驚きです。

それに対し、今の我が国の権力者のトップである総理の見識は、封建時代に戻るような言動とはいえないか。「殿、違憲でござる」と声を大にして言い続ける庶民を多数派にしたいものである。

そして朗報が続きます。センター主催の高校生の公開授業に、なんと樋口陽一さんが講師を引き受けて下さいました。11月23日です。今から予定をあけておいて下さい。

<仁>