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mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記です。

5月17日 大学生 E さんからの手紙

 自分に残る時間がなくなってきた私は、暇を見つけては身辺の整理を始めている。先日、開いた手紙の束類の中に、教え子たちに読んでもらおうとまとめた小冊子「戦争って何なんだろう -『父の手紙』をめぐって考える」の礼状の束があった。

 その中の1通に、教員生活最後の年のクラス(小学4年生)のひとりEさんの手紙があった。

 ほぼ10年前になるが、目を通しながら、1年間のさまざまが動き出してくるととともに、ひとりの人間が人間になっていく姿が種々想像させられたいへんうれしくなったので、そのEさんの手紙を以下にそのまま紹介する。(「〇〇」は私の手になるもの)。

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 先生、お元気でしょうか。私は今、〇〇大学で学んでいます。本を頂いたからには何らかの感想を送らねばと思い、これを書いています。

 本を読ませていただいて感じたこと、考えたことはたくさんありました。「戦争」「紛争」「内戦」、これらは終わった後に、人類に何をもたらすだろうと考えると、深い悲しみや後悔、荒れ果てた自然、憎しみといった負のものしか残さないと思うのです。“植民地などを得て経済的に豊かになる”という明治以降の思想というか考え方は何と一人よがりな考えなんだろうと思いました。しかし、私の考えは現在の豊かな時代に生きているからこそ、この考えなのでしょう。

 欧米に追いつくことを目標とし、努力をした。その努力の方向がおかしかったのでしょう。それが世界中で起こって大きな悲劇を招いたのでしょう。

 私たちは生きるためにいろんなものを欲します。豊かな生活を望むことは決して悪いことではありません。しかし、誰かを犠牲にして望むことはおろかなことだと思うのです。地球上に住む者は皆、同じ生命を持って生きている。だからこそ、そこに”上“とか”下“というものは存在しないはずだと思うのです。

 憲法第九条の改正というのは私にとってはおかしなことにしか思えません。

 過去を無視するようなものにしか考えられません。目先のことばかりに捕われずに、未来を見据えなくてはいけないと思うのです。

 「少年H」という妹尾河童さんの本を読んで、言いたいことが言えない世の中だった戦争中というのは狂っていると思ったのです。本当のことが伝わらない、嘘の情報が行き交う世の中、なんておかしいのだろう。

 時代の流れというものは恐いものだと思います。誰もが流れに乗ろうと必死になるものです。その場に留まることは難しいことです。

 取り留めのない感想になってしまって申し訳ないです。

 先生と学んだ十一年前は、もっとストレートな感想を書いていたでしょう。感じたままに書く、伝えることが、最近できなくなってきた気がします。年をかさねるにつれてどこかに軽い嘘みたいなものが混じっている気がするのです。合理的に物事を考えてしまうからでしょう。素直な自分の気持ちを伝える能力は昔の方が遥かに上です。

 今回、先生からの本を頂いて、十歳の時の自分を思い出したのです。

 とても感謝しています。ありがとうございます。昔のように自分の思ったことを伝えなくては、そのうちパンクしてしまう気がするのです。

 もう一つ、先生にとても感謝しているのは、水、森林、土、人の環境の授業です。

 今、〇〇大学で森林の機能、樹木の生態について学んでいます。あの授業があったから、環境、特に森林に興味をもったのです。将来的には乾燥地、半乾燥地の緑化について学びたいと考えています。

 頂いた本によって戦争について考えること、十一年前の自分と出会えることができて、とても良かったです。本当にありがとうございます。お身体に気を付けて発信し続ける先生でいてください。その発信を受け、私も何かを発信できる人になれればと思います。

 乱筆乱文で申し訳ありませんでした。   平成18年12月6日  E・M 

( 春 )