mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

10月25日

 ある朝、テレビで「閣僚に聞く」というのを偶然見た。そのときの大臣が、「6つも担当がありたいへんですね」との質問に応えて「やりがいを感じています」と、私のまったく知らない新大臣だったが言っていた。

 それを聞いて、その大臣の言葉については何も考えることはなかったが、かつて世話になったK教頭を思い出した。

 K教頭は、オートバイで通勤していたが、冬季間は私の世話になっていた下宿に同宿した。

 ある夜、「今日、県教委から電話があり、明日来るようにと言われた。何のことかは何も言っていなかったが何だろうな」と言う。まだ3年目の私にわかるわけがないから、「何でしょうね」と合わせるだけだった。

 翌日、県教委に行ったKさんが帰ってきて言うには、「行ったら、頭から、『保健体育課の指導主事をやってほしい』と言われた。びっくりしたオレは、そのような大役を私にやれるものかどうか、とてもすぐ返事ができるわけがないから、少し考えたいので明日返事をさせてほしい、と言って帰ってきた」とのことだった。

 その話を聞いて、若くて何も知らないくせに私は(この話はダメになるな)となんとなく思った。

 なんと翌日の河北新報朝刊に「保健体育課指導主事に○○」との人事異動の記事が小さく載っていたのだ。Kさんの名前ではもちろんない。

 Kさんには、その後県教委からいっさい何の話もくることなしにこの件は終わった。

 Kさんは笑いながら「いつか娘たちに、こんなことがあったと言うさ、それでいい」と言っていたが、私は腹立たしい気持ちがしばらく収まらなかった。そして、世の中のことがひとつわかったような気になった。いや、まちがいなく「ヒトが悪くなった」。

 Kさんはその後の人事異動で、今までの倍以上も自宅から遠い地の教頭で転任し、しばらく教頭職がつづき、定年直前、やっと校長になった。ちなみに、その時新聞に載った○○さんは2年で校長になった。

 「考えさせてください。明日返事します」というKさんのどこが問題か。できもしないことを「6つも担当し、やりがいを感じます」とよどみなく言う人間ばかりがワンさと増えているのだろう・・・。 ( 春 )