前回のつづき。PR誌「図書」の中の「本」について私が驚いたことの2つめ。
「市町村という基礎自治体で、本屋さんが1軒もない『本屋ゼロの町』が至る所で現れています」と書いてあり、「本屋さんゼロの自治体数」の都道府県別一覧が付く。とにかく驚くほかなし。大型合併で市町村数が大幅に減っているにもかかわらずだ。
まず、宮城県はどうか。
全体で35市町村(13市21町1村)のうち、本屋さんゼロの自治体数は「6」という。どこかは、この表ではわからない。
ゼロでなくても、書店数がどんどん減っていることもまちがいない。この4月、センターに月刊誌などを入れていたM書房も閉店した。
私の学生時代は、一番丁には本屋が何軒もあり、古本屋も加えてハシゴをするのが普通だったが、今は、当時の店で残っているのは1軒のみ。街をぶらぶらすることもなくなったからだが、やはり寂しい。
他県の例を2・3あげると、ゼロ自治体の多いのは、北海道の47、長野の35、福島の22となっている。広い北海道は手の打ちようがないのだろうか。福島は原発の影響もあるのだろうと思った。長野の35では、信濃教育会や小説「聖職の碑」を思った。
私が最初に赴任した村には本屋がなかった。仙台から学校に来ていた教材屋のKさんが、私の欲しい本を買ってきてくれ、月給手取り7500円の私に「1割引きのボーナス払い」ということにしてくれた。私はたくさんの人に恵まれたが、Kさんもそのひとりだ。Kさんに買ってもらった本は今も書棚に並んでいる。
本を読んでも腹をふくらませることはできないが、現状は、日本人の危機ではないか。そんな大げさなと笑うなかれ。( 春 )