PR誌「図書」10月号の表紙に「800号記念」とあった。単純に12ヶ月で割ると66年を超えることになる。
あとがきによれば、最初パンフレットとして1936年に不定期刊行でスタート。1938年1月号から「岩波月報」と改題し定期刊行に。同年8月号から「図書」とあらため、戦時の出版統制の強化で1942年12月号をもって終刊。戦後再刊されたのは1949年11月号。それから今を迎えるという。この小さいPR誌の800号はそのまま戦前戦中戦後を物語る。
ところで、この号に、「『本と雑誌』は『軽減税率』が世界の常識です」という広告(?)が1ページある。消費税10%に向けて「軽減税率」がいまテレビで取り上げられ、ややあきれ顔で眺めていたのだが、それに関して私の知らないことがこの1ページに盛られていてたいへん興味深く読んだ。それは大きく2つあった。
1つは、ヨーロッパでは「自国の文化の発展のため、出版物に広く軽減税率を適用している」ということ。私はこれまで消費税引き上げ時に書籍も同じように扱われることに何の疑問ももたなかった。
なんと、イギリスは標準税率20%だが本はなんと0%。フランスは標準税率20%で本は5・5%。ドイツは標準税率19%で本は7%だというのだ。
それはヨーロッパだけではない。アジアでも、韓国は標準税率10%で0%、タイは標準税率7%で0%、マレーシアは標準税率6%で0%という。
すっかり驚いた。
「本を読まなくなった!」と口にするだけでなくいろんなことを国として考えているのだ。「大学に文系学部は不要だから廃部ないしはもっと実用的な部をつくれ」と言うどこかの国とあまりに違い過ぎると思いながら、自分の鈍感さが情けなくなった。このページに「それは、未来を担う子どもたちへの投資と考えているからです」とも書いてあった。
「2つめ」は次回にまわす。( 春 )