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mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記です。

5月27日

 井上ひさしがPR雑誌「海」に書いた「言語遊戯者の磁場―平賀源内」を読んだ。1971年に書かれたものだ。

 その文は、「身の程を知らぬというか、怖いもの知らずというのか、平賀源内(1728?-1779)を肴に『表裏源内蛙合戦』という二幕の歌入りを書いたのは、ちょうど1年前で、書き上げた途端、やれやれこれで源内先生とは永久にさようならだ、と清々した気分で、3年かかって集めた資料や書抜きをダンボールの大箱2個に詰めて押入の中に放り込んだのだが、清々したのはせいぜい3,4日のことで、~」と書き出され、芝居を創った後も井上の体から離れなくなったと平賀源内のことが書いてある。

 井上の年譜を見ると、「ひょっこりひょうたん島」が1964年から始まり、70年に「表裏源内蛙合戦」が公演されているので、源内が井上の才能を引き出したとは言えないかもしれないが、タイトルになっている「言語遊戯者」は源内を指しているも、自分のあこがれでもあったのではないかと、書かれている具体的な源内のひとつが井上の仕事とかぶさってくるのだった。

 文の結びは、「源内に負けずに駄洒落・地口・語呂合わせを連発することにより、もっとも威厳に満ちて聳え立つコトバという城をゆるがし、崩すことも可能になるのではないかと思われる」と。

 井上がモットーとした「難しいことを易しく。易しいことを深く。深いことを面白く。」は、こんな道を通ってたどりついたものだろう。

 本が読まれなくなったと言われて久しい。コトバが限られた人のことになることはなかろうが、コトバの貧困が言われるなか、安保をめぐっての国会攻防が始まった。為政者に見事に意を使い切り取って報ずるニュ―スだけではよくわからないが、それでも論戦にしては情けないほどの貧困を感じる。

 コトバに生きた、コトバの魔術師、智筆院戯道廈法居士もさぞ悔しがっているのではないか。