mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

10月8日

 私の夢にはこれまで出会った方がしょっちゅう登場する。そのたびにいろいろな想いがわき上がり、自分を振り返ることになるので夢での再会は歓迎だ。

 数日前には、中学に勤めていた時の最初の学年主任Sさんが現れ、どういうわけか「春日さん、学校は前よりももっとよくなったぞ」と教えてくれた。この意味は考えてもいまだ解けないでいるが、Sさんとの出会いから学んだものは非常に大きかったのだ。ある日、2人だけの職員室で、こんな話を聞かせてもらったことがある。

 Sさんは師範を出ていない。高校機械科出だ。戦後の教員不足の折、乞われて教師になったという。勤めて間もなく、ひとりの生徒が土器のかけらをもってきて「これは何だろう」と聞かれたが答えることができない。そのままにしておくことができず、校長にわけを話し、その日の放課後、東北大の考古学研究室を訪ねる。翌日からも研究室通いがしばらくつづいたという。当時、バスで片道1時間は要したろう。

 本人はもとより、通わせた校長、相手をしてくれた研究室に人々にも驚くばかりだ。

 私が出会った時にはひとりで郡内の発掘作業をするようになっており、「今日は町内の円墳を調査に行くが一緒しないか」などと誘われ、何度かご一緒したことがある。後年、その地の遺跡調査に欠かせないリーダーになって活躍された。

 そのSさんが今になって夢で私の前に現れたのは、もしかすると私が、歳を重ねたことをいいことに、不勉強を棚にあげ知ったふりをしてのもの言いをする私の姿を見かねてではなかったかとフッと思った。Sさんは最後まで謙虚さと研究心を失うことのなかった方だったから。

 Sさんの生き方を思い出すと、教師の資格獲得年限の延長だけで教師力が高まるとは簡単には思えない。デモシカ教師の私がSさんとの出会いによってまちがいなく変わった。この事実ひとつとっても、少しでも教師に近づくために何が大事か、今も変わりはないように思うのだが・・・。 *センターのホームページの機能は依然としてほとんど回復していない。他人頼みだから仕方ないが、そんななかで、私のつまらない日記の役割は何だろうと考えると気が沈んでくる。