mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

8月24日

 昨日の朝のNHKニュースで、寅さんシリーズを全巻フィルム上映が始まったことを報じていた。フィルムの回るカタカタという音も話題になっていたが、会場の後方に置かれた映写機、それを操作する技師の姿とともに私の耳にも残っており懐かしい。

その番組で話していた山田洋次監督は、「現在は『役に立たない人は不要』のように思われているが、寅さんなどはまったく役立たずだ」と言っていた。確かに寅さんはフーテンであり、役立つ姿は何一つ見せたことはないかもしれないが、寅さんが動かした人の心は数知れない。寅さんによって人間に大事なものは何かを教わった人もまた多い。でもそれらは、その人にのみ残り、その他の人はまったく知ることはなく、寅さんは“役立たず”としか見られない。でも、“寅さん”のまったくいない世の中を想像してみるとゾッとするのは私だけだろうか。しかも、想像の世界だけでなく現実に世の中はそこに近づいているようでたいへん心配なのだが・・・思い過ごしだろうか。

山田監督と一緒に私の友人である映写技師の鈴木文夫さんも出ていた。この道一筋を歩いてきた人だ。テレビでも機械に寄り添っていた鈴木さんはなんとも言えない満足そうな顔をしていた。

鈴木さんと2人で威勢よく約束しておきながら、私の思いきりの悪さのために未だ実現していないことが一つある。「戦艦ポチョムキン」を生オーケストラで上映すること。林光さんが数十年前に市民会館でやったことを再現することなのだ。林さんも亡くなり、(また遠くなったか)と鈴木さんの姿を見ながら思った。鈴木さんはいつでもOKで、すべては私の決断にかかっているのだが。