前回、「『いじめ』と名詞で言われるのを聞くようになったのは、教師生活もしばらくしてからではないかと思う」と書き、広辞苑の「いじめる」「いじめ」の意味をそのまま抜き書き紹介した。
その後、使用した広辞苑は第5版だったのだが、5版と書かなかったことが大いに気になった。そのことを思っているうちに、第1版から「いじめ」は入っているだろうかという疑問がわいてきた。
そこで、幸い版ごとにそろえてあった広辞苑を調べてみた。
・第1版は1955年5月に刊行され、「いじめる」は入っている が「いじめ」は入っていなかった。
・第2版は1969年5月刊行、1版と同じで「いじめ」は入ってい ない。
・第3版は1983年12月刊行、これも1・2版と変わりはなかっ た。
・第4版は1991年11月に刊行、ここで「いじめ」が入ってい て、前回の説明がついていた。
つまり、広辞苑では「いじめる」は1版から入っていたが、名詞「いじめ」は、4版で初めて登場したということになる。
他の辞書はどうなっているかはわからないが、どんな単語を新規に入れるかどうかは社会状況と無関係でないことを考えてみると、もう少し気にしてみたいと思った。