mkbkc’s diary

みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログです。

季節のたより

季節のたより98 ラショウモンカズラ

シソ科で最も大きい花 羅生門の鬼伝説が名の由来 野原に緑が広がってきました。植物のなかには、花の名前はわからないけれど、何の仲間かわかりやすいものが、かなりあります。茎が四角形で、葉が向かい合ってついている(対生)なら、たいていシソ科です。…

季節のたより97 フデリンドウ

春咲きのリンドウ 雨粒を利用し種子を散布 春の日ざしが地面を照らして、草木の種子たちの芽吹きが始まりました。その芽吹き前に、陽の光を浴びて空を仰ぐように咲き出している花がありました。 リンドウの花に似た小さな花です。リンドウといえば秋のイメー…

季節のたより96 ウグイスカグラ

鶯の初音の頃に咲き出す花 赤い実は古代の果物 3月中旬に朝の散歩道で鶯の初鳴きを聞きました。ケキョ、ケキョ、キョキョとたどたどしいさえずりです。求愛となわばりを守るために、ひときわ高く澄んだホーホケキョという鳴き声めざして、オスの鶯の練習が…

季節のたより95 サンシュユ

春告げる黄金色の花 赤い実は薬用に 春の訪れを告げるかのように、枝一面に鮮やかな黄色い花を花火のように咲かせるのは、サンシュユの木です。葉に先だち花を咲かせ、満開のときには、木全体が黄金色に輝いているように見えるので、ハルコガネバナ(春黄金…

季節のたより94 キブシ

春を知らせる花房 夏の葉かげのパイオニア 寒い日が続くかと思えば、急に暖かい日がきたり、また寒さがぶり返したりするうちに、吹く風が暖かさを運んでくるようになります。 先日までは裸木だったのに、気がつくと、黄色い花房が枝先に並んで髪飾りのように…

季節のたより93 ツノハシバミ

早春の小さな赤い花 木の実はヘーゼルナッツの仲間 そろそろ咲いているかもしれないと、散歩の途中で傍らの小さな林に入り、冬の木々の枝先を一つひとつ確かめていきました。咲いていました。目をこらさないと気づかないほどの小さな赤い花。冬の林にかすか…

季節のたより92 ウメ

春の始まりを象徴 古代より親しまれてきた花や実 「梅初月」(うめはつづき)ということばがあります。梅の花が咲き始める頃という旧暦12月の月の和名の一つです。旧暦カレンダーをみると、2022年は、新暦の2月1日が旧暦の正月(1月1日)にあたっ…

季節のたより91 ジャノヒゲ(リュウノヒゲ)

雪の下でも鮮やか 瑠璃色に光る種子 冬の林のなか、歩く野原はいちめん銀世界です。日当たりのいい崖地で、雪に負けず伸び出している細長い葉の間から、のぞいているものがありました。きらりと光る瑠璃色の珠です。ジャノヒゲの種子でした。 ジャノヒゲはリ…

季節のたより90 ウメモドキ

野鳥たちを待つ 小さな鈴なりの赤い実 早朝の散歩道、あるお宅の庭先に小さな赤い実をびっしりつけている木がありました。赤い実は朝の光を受けて輝いています。ウメモドキの実でした。 ウメモドキは、モチノキ科モチノキ属の落葉低木で、葉の形がウメの葉に…

季節のたより89 オオウバユリ

開花は一生に一度だけ 強風を待って飛ぶ種子 冬枯れの林のなかのできごとでした。突風が枯れた小枝を落とし茶色の果実にぶつかりました。その衝撃で茶色い種子がいっせいに舞い上がり、風に乗って飛び散りました。めったに出会うことのできないオオウバユリ…

季節のたより88 オニドコロ

暮らしとつながる在来種 消えゆく野老堀り 木々が木の葉を落とし、野山は寂しくなりました。初冬の陽が山の斜面を低く照らしています。茶色の山肌に何か逆光に光るものがあるので近づいてみると、灌木に巻きつくツルに穂状につらなるたくさんの果実でした。…

季節のたより87 セイタカアワダチソウ

黄金色に群れなす花 花粉症の犯人は冤罪 秋の野草たちが花の終わりを迎えています。この季節に突然のようにあちらこちらで黄金色の花が目につくようになりました。セイタカアワダチソウの花です。北米原産の帰化植物でキク科のアキノキリンソウ属の多年草で…

季節のたより86 マユミ

緑白色の小花と真っ赤な種子 弓や和紙の材にも 秋も深まり、赤い木の実が目立つようになってきました。いつもの散歩道で、淡紅色の実が割れ赤い種子が飛び出している木に出会いました。マユミの木です。 マユミはニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木で、身近な…

季節のたより85 オケラ

古名は「うけら」万葉人の思いや感性を今に伝えて 「オケラ」と聞くと、昆虫の名前を思いうかべる人が多いと思いますが、これは古くから日本に自生している植物の名前です。昆虫のオケラは、コオロギの仲間である「ケラ」に接頭語の「オ」がついて「オケラ」…

季節のたより84 シラタマノキ

鈴なりの白い珠 ガク片が成長し本物の実をつつむ 秋から冬にかけて実る草や木の果実は、赤や黄、紫色が多いのですが、白色に熟す少数派もいます。なかでも真っ白な実をつけるものがシラタマノキです。 山歩きを始めた頃 初めて山地でこの実を見つけて、こん…

季節のたより83 オミナエシ

秋を知らせる七草の一つ 万葉の頃から親しまれた花 気がつくと日は短くなり、季節はいつの間にか、夏から秋へと移行しているようです。秋を感じさせる草花といえば、万葉の歌人、山上憶良が詠んだ「秋の七草」があげられます。そのなかの1つがオミナエシの…

季節のたより82 ウメバチソウ

独特な花の造形 賢治童話に登場する花 夏の終わりに山を歩くと、小さな白い花が笑顔で迎えてくれます。今年も出会えたことを喜んでくれているような、嬉しい気持ちにさせてくれるのが、ウメバチソウの花です。 ウメバチソウは、日本各地に自生しているニシキ…

季節のたより81 サルスベリ

炎天下に咲く紅色の花 絶妙な受粉のしくみ 夏の盛り、私の出番、といわんばかりに咲き出すのが、サルスベリの花です。真夏の日中でも紅色が目に鮮やか、暑さもどこかへ吹き飛ばす勢いで咲いています。花は百日に及んで咲き続けるので、漢名では「百日紅」(…

季節のたより80 ノリウツギ

夏空に似合う花 サビタの花とも呼ばれて 夏の暑さをやわらげるように山野にノリウツギの白い花が咲き出しました。梅雨明けの夏空に似合う花がノリウツギの花です。 ノリウツギは北海道から九州にかけて分布するユキノシタ科アジサイ属の落葉低木です。夏の山…

季節のたより79 モウセンゴケ

貧栄養の湿地に生きる 特殊な進化をした食虫植物 モウセンゴケは、もっとも身近に見られる食虫植物です。モウセン(毛氈)とは、羊毛などのけものの毛を原料に織物風に仕上げた敷物のこと。湿地に生えて赤く色づき群生する様子が、ひな壇などに敷きつめられ…

季節のたより78 ウリノキ

人知れず 葉かげに咲く花 花の簪(かんざし) 樹木のなかには花がきれいなので庭や公園に植えられたり、建築材や生活用具、薪炭などに利用されたりして、人と深いかかわりをもつものが多くあります。しかし、特に人の役に立つわけでもないので雑木として片付…

季節のたより77 ニッコウキスゲ(ゼンテイカ)

初夏を知らせる橙黄色の花 山野の湿原に群生 「星の並び方を音符に見立てて、星座のメロディーを作った人がいるそうである。」そんな図鑑らしくない書き出しで「ニッコウキスゲ」を紹介している植物図鑑がありました。「・・・ラッパのような花をのぞくと、6個…

季節のたより76 サンカヨウ

ひっそりと咲く高山の花 雨にぬれガラス細工の花に サンカヨウとは、初めてその名前を聞く人がいるかもしれません。山歩きの好きな人にとっては憧れの花。本州の中部から北海道あたりまでの亜高山などの林床に自生しているメギ科サンカヨウ属の多年草です。…

季節のたより75 ブナ

肥沃な土壌をつくり、いのちを育むブナの森 5月、栗駒山のブナの森におそい春がやってきます。 県北の温湯温泉をとおって秋田の湯沢に抜ける国道398号線を車で走り、途中の湯浜峠に立つと、残雪が残る栗駒山が姿を見せます。眼下には淡緑色に色づき始め…

季節のたより74 ミズバショウ

雪解けに咲く湿原の花 水の流れで種子を散布 早春、雪解けとともに湿原に真っ先に咲き出すのが、ミズバショウです。 ミズバショウは、山間部の湿地や沼地などの、水がきれいな場所を好んで自生しています。花が見られるのは、低地では3月から4月、雪解けの…

季節のたより73 ニリンソウ

里山の林床を白く染める 野生のアネモネ 里山の風景を残す田園地帯の小学校に転勤になったときのことでした。 3年生を担任した新学期、家庭訪問で地図をたよりにこどもたちの家を訪ねました。近道をするつもりで道に迷い、雑木林の林道に入って偶然見つけた…

季節のたより・特別編(2)

読んでびっくり! こんな 「指導書」 があったのか 教師用としてつくられた『自然の観察』(昭和16年:文部省著作・発行) 前回の特別編の「こどもたちの季節感が失われていく」を『センターつうしん』101号で読んで下さった大沼敏幸先生から丁寧な感想をい…

季節のたより72 ナズナ

チャンスを待っていつでも発芽 小さな花の知恵 あたたかな日差しのなか、道端の草花たちが冬の寒さから解放されたように生き生きしています。見ると放射状に広げた葉の間から、ナズナの花のつぼみがのぞいています。もうすぐ白い米粒のような花がいっぱい咲…

季節のたより71 アセビ

大和路に多い早春の花 花の準備は夏の頃から 東北の春先は、突風をともなう猛吹雪が起こります。宮沢賢治の童話「水仙月の四日」は、その猛吹雪をモチーフに、自然の厳しさと優しさを描いています。 嵐を引き起こす雪婆んご(ゆきばんご)に仕える雪童子(ゆ…

季節のたより70 ハコベ

人の住む不安定な環境に生きる 清楚な白い花 地面があたたかくなってきたようです。島崎藤村が「緑なす繁蔞(はこべ)は萌えず」(千曲川旅情の歌)と詠んだハコベが、茎を伸ばし青々とした葉を広げて、白い花を咲かせていました。 ハコベは、古くから「はこ…